2019年7月号
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デジタル国家の構想

アナログな選挙活動を効率化 クラウドで地図と名簿を管理

堀 浩之(PeaceFactory CEO)

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政治家の支持者名簿をクラウド化し、地図と連動させた「スマート選挙」。統一地方選前半では、ユーザーの98%が当選するという結果を叩き出した。プラットフォームで政治活動を効率化し、政治家が「志」を実現することを支援する。

堀 浩之 PeaceFactory CEO(左)。PeaceFactoryはシステム開発などを手掛けるIT企業だ

2019年は選挙の年だ。統一地方選と、参議院議員通常選挙の2つが重なる、12年に一度の年に当たっている。4月の統一地方選では、投票率の低下傾向が続き、人口減少が顕著な自治体では首長・議員のなり手不足が問題になるなど、地方自治のあり方を考える機会となった。

そんな統一地方選のさなか、東京のITシステム会社PeaceFactory(東京都港区)は、同社のクラウド選挙活動支援システム「スマート選挙」を利用した候補者の98%が、4月7日投票の統一地方選前半戦において当選したと発表した。既に地盤のある現職議員だけでなく、新人も議席を確保していた。

支援者との関係を整理して管理

スマート選挙は、候補者の支援者の名簿と、ゼンリンのオンライン住宅地図を紐づけした、政治活動のためのリレーションマネジメントツールだ。スマート選挙を開発した経緯について、PeaceFactory社長の堀浩之氏は、「友人の選挙を手伝ったときに、選挙運動が驚くほどアナログだったことに衝撃を受けたのがきっかけ」と話す。

議員・首長などの政治家とその候補者は、後援会の会員や、演説会などに来場した支援者の住所・氏名などを名簿にし、それを元に活動を展開する。堀氏が見た多くの候補者の事務所で、支援者名簿がデジタル化されておらず、電子化された名簿も、シンプルなエクセルの表だった。ちなみに、政治家の支持者の名簿に記載されている有権者数は、地盤となる自治体の規模や地方議会か国政かなどにより変動するが、数千人から最大で数十万人にのぼる。

このような政治家の事務所では、住所を紙の地図で調べてプロットし、支持者に会いに行く。そして、この面談から得られた意見や情報は、支援者名簿に記録として残すことになるが、限られた時間と大量の仕事の中、記録は後回しにされがちだ。当選した場合、地方議会議員はすぐに議会が始まることもあり、ヒアリングが有効活用できないケースも多かった。

このような情報のハンドリングは、ITの得意とするところ。パソコンが使えない人でも、スマートフォンやタブレットは使える。堀氏は、友人の選挙用に構築したシステムをベースに製品を開発し、2017年にスマート選挙をリリースした。選挙期間以外の支援者とのコンタクトから、街なかでの選挙活動までを支援するツールとして、口コミで利用が広がり、国会議員から首長まで所属政党を問わず既に全国にユーザーがいる。

特に評価が高いのは、支援者名簿から、その地図の位置を自動的に同定する「自動地図落とし機能」。選挙の現場では、現地調査に基づく表札情報が記載されたゼンリンの住宅地図が、最もよく使われている。この地図に支援者の所在を書き写す作業は「地図落とし」と呼ばれ、時間がかかる大変な作業だった。これをデジタル化することで、地図上から支援者を検索して隙間時間に会いに行く、その際に得た情報をタグ付けして支援者データベースに追加する、といったことが可能になった。

また、地図との連動により、ポスターの管理もやりやすくなった。選挙期間中にまちの各所に掲示される候補者のポスターには、大きさや枚数などに様々な規制がある。選挙が始まる前に貼ったポスターは、全て剥がさなければならない。広い選挙区内のどこに、いつポスターを貼ったかを記録しておくことで、公示後に迅速に新しいポスターを貼る、古いポスターをもれなく撤去するといった作業が効率よくできるようになった。

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