2019年7月号
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デジタル国家の構想

AIでケア手法を確立、介護費を削減 公共領域でもAI活用が本格化

石山 洸(エクサウィザーズ 代表取締役社長)

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AIを用いて「科学的根拠に基づくケア」を実現し、国や自治体の社会保障費を低減。エクサウィザーズは福岡市や神奈川県などと連携し、介護分野における実証実験で成果をあげている。公共分野において、AIの活用領域は大きく広がっており、今後、まちづくりを大きく変えていく。

今、一部の自治体でAIの導入が始まっている。主な活用例として、自動翻訳システムやチャットボットによる行政サービスの案内などにAIが使われているが、AIという技術のポテンシャルを考えると、今後、行政のあり方を抜本的に変える領域での活用も期待される。

公共的な領域も視野に入れ、AI事業を展開しているスタートアップが、エクサウィザーズだ。2016年2月に設立された同社は、自治体とも積極的に連携しながら事業を拡大している。

社会課題を解決する専門家集団

今、AIを手掛ける企業は数多い。エクサウィザーズの特徴について、石山洸社長は「社会課題にフォーカスしていること」を挙げる。

「AI技術が先にあってその用途を考える技術ドリブンのAIスタートアップも多いかと思いますが、私たちは、まず社会課題に着目し、それを解決する手段としてAIの活用を考えます」

日本が抱える社会課題は多岐にわたる。それを解決するためには、幅広い分野の専門性が求められるが、エクサウィザーズには多様な人材が揃っているという。

「研究者やエンジニアはもちろん、外資系コンサルティングファーム出身者や起業経験者、大企業とのコラボを得意とする人材、さらには行政との渉外を担当するスペシャリスト、医療・介護の現場に精通するスタッフなど、フルラインナップの人材がいます」

エクサウィザーズの社員数は約130名(2019年4月時点)。具体的な事業分野として、介護、医療や創薬、ロボット、金融、HR(人事)などを手掛けている。

「分野によってAIの普及スピードは異なります。HRや金融での普及は早く、ロボットや創薬、介護は比較的時間がかかると思います。短期での収益化を見込める分野も組み合わせて事業のポートフォリオを構成し、社会課題に取り組みながら、事業を拡大させていきます」

自治体と連携し、実証実験で成果

今、日本が直面している深刻な社会課題として「超高齢社会」がある。エクサウィザーズは、介護分野におけるAI活用に力を注いでいる。その1つが、フランス発祥の認知症ケア技法「ユマニチュード」とAIを掛け合わせた取り組みだ。

これまで、認知症ケアに関して、どんなアプローチがどのような効果を生んだのかを測る術がなかった。エクサウィザーズは、ユマニチュードによる実際のケアをAIで画像解析し、「良いケア技法とは何か」を可視化した。

「介護の様子を撮影した動画を集めて、例えば、ベテランと若手では目線の合わせ方や身体の使い方がどう違うのかなどを分析しました。そして、学ぶべき特徴や、やってはいけない癖を学習させたAIを開発・提供しています」

提携する福岡市では、実際に認知症患者の介護をしている人を約100人集め、2時間のユマニチュード講習を実施。その後の調査では、講習で学んだ手法でケアをしたところ、認知症患者の症状が20%、ケアを施した人の負担感が28%減少するという結果となった。

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