楽天×鳥取県 デジタル化で地域と共生・共創

2019年4月に包括連携協定を結んだ楽天と鳥取県は、デジタルマーケティングを活用した誘客やファンづくりをはじめ、県の活性化を目指した数々の取り組みを進めている。楽天はデジタル技術の知見を活かし、地域と共生しながら、各地の人や企業との共創に力を注ぐ。

武田 和徳 (たけだ かずのり)楽天 副社長執行役員コマースカンパニー プレジデント

楽天が地域の可能性を引き出す

「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」を理念に掲げる楽天は、創業時からインターネットを使って地方を元気にし、そして日本を元気にすることを目指してきた。官民の垣根を越えた共創に取り組んでおり、すでに全国約600以上の自治体と協力して事業を展開し、32の自治体と包括連携協定を結んでいる。

2019年4月、楽天は鳥取県と包括連携協定を締結した。楽天副社長執行役員コマースカンパニープレジデントの武田和徳氏は、鳥取県との提携についてこう語る。

「従来から協力関係にある鳥取県の平井伸治知事にお話をしたところ、二つ返事で即決していただきました。そのスピード感に驚かされています」

楽天と鳥取県は以前から協力関係があり、楽天トラベルが2011年から県内への観光客誘致に向けたウェブプロモーションを行ってきたほか、2016年10月に発生した鳥取県中部地震の際には、支援を呼びかけるキャンペーンも展開した。

平井伸治 (ひらい しんじ)鳥取県知事

今回の包括連携協定は協力関係の範囲を広げ、深めたものだ。平井知事は、楽天への期待はデジタル技術の活用にあると語る。

2019年4月、楽天と鳥取県は包括連携協定を締結した

「令和の時代ですから、前例がないこと、例はないことに挑戦しなければなりません。鳥取県には豊富な特産品や観光資源がありますが、大都市から離れており、従来はその売り込みが困難でした。しかし、Eコマース(電子商取引)やウェブプロモーションなどのデジタル技術を活用すれば、地理的なデメリットは解消されます。地方とデジタル技術はとても相性が良い。楽天さんのような企業は、時代を変えるゲームチェンジャーであると感じています」

前例のないことへの挑戦として今回の包括連携協定では、様々な取り組みを進めていく(図参照)。具体的には、中山間地域などにおける新たな買い物支援を目的としたIoTの実証実験や英単語学習ツールを活用した教育現場のデジタル化を推進していく。

図 鳥取県と楽天による包括連携協定の主な内容

 

「小売店が撤退した地域では、高齢者が普段の買い物に困る状況になっています。そうした課題の解決にも、楽天さんと一緒に取り組んでいきます」(平井知事)

加えて、これまで他の地域とも取り組んできた、楽天会員数1億以上の顧客基盤を活かした観光プロモーションの立案・実施、県内事業者のEコマース参入支援やキャッシュレス化推進などを行う。

また、次世代人材の育成も計画されており、高校生に向けた地域課題解決プログラムの実施などを行う予定だ。

「地域の多くの人や企業にとって、楽天さんは可能性を引き出す触媒になり得ます。楽天さんと組むことで、鳥取県には少なくとも10の幸福がある。クテンです」(平井知事)

70以上の多様なサービスを
展開する楽天の強み

楽天はEコマース、フィンテック、IoTやAIやドローンの活用、モバイル通信など70以上のサービスを展開しており、世界で13億以上のユーザーに利用されている。

また、それらのサービスを結び付け、独自の楽天エコシステム(経済圏)を形成している。

2019年2月にはこれまで地方創生を担ってきた事業を横断的な組織に組み替え、楽天が有するこれらの多様なサービスを活用して、より包括的に地域活性に取り組んでいける体制を整えた。

「"地方から日本を元気に"という思いのもと、楽天はいろんな人や企業が参画できるオープンなプラットフォーム(開かれた場)を築くことで、多様な人や企業の可能性を引き出していきたいと考えています。今後は更に、現地・現物・現場を見ながら、必要とされるサービスを柔軟に組み合わせ、オンラインとオフラインのつながりを強化し、地域に共生する会社となって各地で共創を進めていきます」(武田氏)

また、楽天は今後、鳥取県を舞台にデータの本格的な活用に向けた実証研究も進めていく。

「楽天のデータは、地域に様々な価値をもたらします。例えば、プロモーションに際して、どのようなお客様をターゲットにすべきかを見極めたり、商品開発において、適切な価格設定を分析したりすることができます。しかも、『楽天市場』や『楽天トラベル』をはじめとしたEコマース、個人間取引の『ラクマ』、『楽天ペイ』や『楽天カード』などの決済事業など、幅広いサービスがありますから、あらゆる分野で地域のお役に立つことができます」(武田氏)

「鳥取県の人口は、都道府県で最少の約56万人。規模が小さいですから、小回りが利いて意思決定も早く、実証実験が行いやすい環境になっています。大都市と比べて低コストで新しいことに挑戦できますから、未来のモデルをつくるためのフィールドとして鳥取県を活用していただきたいと考えています」(平井知事)

今、人々の価値観は変わってきており、地方の暮らしに魅力を感じる人も増えている。平井知事は、そうした流れを県の活性化につなげることに力を注いでいる。

「鳥取県には素晴らしい景色やおいしい食べ物、人々の絆があります。デジタル技術を活用すれば、そうした地方の価値に光を当てることができます。令和の時代となり、これから第一話、第二話と県の新しい物語がつづられる中で、今回の包括連携協定は第零話。これから良い物語を楽天さんと一緒に描ければと考えています」(平井知事)

楽天は鳥取県での取り組みを1つの出発点として、他の県や市町村でも共生と共創を進めていく。そして、日本全体にエンパワーメントの輪を広げることを目指している。

協力:山陰 米子皆生温泉 皆生 游月

 

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