再生医療、スマートシティ...... 第一人者が語る地方創生の未来

スーパーシティの実現に重要なのは、自治体の施策だけではない。住民視点に立ち、ニーズを捉えた社会システム全体の構想が不可欠である。自治体と連携する第一線の学識者・パートナーからの示唆を聞いた。

最先端のテクノロジーや制度を活用し、地域活性化を効果的な推し進めるにはどうすべきか。フォーラムの後半では、「ヘルスケア領域の最先端」と「地域課題に向き合うパートナー」の立場から、幅広い示唆が寄せられた。

澤 芳樹氏(大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科 教授)

東 博暢氏(日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 プリンシパル)

ICT×ヘルスケアで
地域医療の質を向上

高齢化地域を抱える大都市で、医療のスマート化を産業展開にどうつなげるのか。そして社会課題解決はまちの発展につながるのか。

澤芳樹氏は、高齢化社会を迎えた都市は共通の問題を抱えると指摘。「医療の産業展開そして『社会実装』の活用が課題解決につながると考えます」。もっとも治験を経なければ新薬の有用性は分からず、比較対象には院外の健康人口・未病人口のビッグデータをいかに集めるかも課題だ。

大阪大学医学部では、自己管理と、担当医・病院との連携で健康改善と医療費削減につながった福岡県の実例を踏まえ、地域の人口集団(コホート)を長期に亘って追跡し、介入研究を可能にする「健康市民共創リビングラボ」を実践する。具体的には、大阪駅周辺のオフィス街で働く人びとと、北区都島・旭区・城東区など歴史ある地域に定住する高齢者を対象に、各自の健康データを共有。個人の健康データは「医療情報銀行」に預けてもらい、匿名化してデータ処理を行う。こうしたビッグデータの蓄積で、医療の産業化につなげる狙いがある。

大学ではオープンイノベーションの場を提供し、ヘルスケア企業30社の社会実装を支援する。「心理学の知見を使い人の行動変容を促す『仕掛学』などの実践にも取り組んでいます。『いのち輝く未来社会のデザイン』が2025年大阪万博のテーマ。社会課題解決を駆動力に、医療の産業化を進めていきたいと思います」(澤氏)。

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