2019年5月号
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地域特集 香川県

うどんだけじゃない香川県 オリーブ、アートで世界的な観光地に

嶋田 淑之(ジャーナリスト、産業能率大学兼任教員)

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「うどん」ばかりが注目されがちな香川県。たしかに本場の讃岐うどんは魅力的な存在だ。だが実は、うどん以外にも、強烈な個性を放つ有力な地域資源群が存在しており、それらこそが、中長期的には同県に大きな競争優位性をもたらす可能性を有している。

「うどん県。それだけじゃない香川県」とは、香川県のキャッチコピーである。

ただ、「それだけじゃない」と言ってはみたものの、「ほかに何があるのか?」となると、県外での認知度は必ずしも高くないようだ。多くの人がうどんを中心にした旅で満足してしまうのが一因だろうか、観光客の再来訪意向指数は全国ワースト47位(日本銀行長崎支店調査2017)なのである。

今後に向けた克服課題と言ってよいだろう。

うどん以外で、中長期的に同県に大きな競争優位をもたらし得ると筆者が考える地域資源群―それは、オリーブ(およびオリーブを活用した産品)と希少糖、そして現代アートである。

直島では島のあちこちで現代アートを楽しむことができる。草間彌生の代表作「南瓜」は写真撮影スポットとしても人気

オリーブ使用産品と希少糖に期待

2014年に地方創生が政策課題になって以降、1次産業においては、産品のブランド化・6次産業化・輸出が全国的に推奨されてきた。その甲斐あってか、たとえば豚肉であれば、日本各地にある銘柄豚は今や400種に及ぶ。

ことほど左様に、他の一次産品に関しても類似した傾向が見出されよう。

銘柄乱立は、銘柄同士の競争を激化させ、真に地域に根差した独自の個性を有しかつ品質の優れたもの以外は、いずれ自然淘汰される時が来るに違いない。

そういう観点から見たとき、香川県には大きな強みがある。同県は、小豆島を中心に日本のオリーブの95%を生産し、オリーブはまさに唯一無二の独自性を有する地域資源である。これを積極活用することが県産業の競争力を高める。

明治時代に導入されたオリーブの栽培に初めて成功したのが香川県の小豆島。香川県ではオリーブ油だけでなく、その搾りかすやオリーブ葉を飼料としたオリーブ牛、オリーブはまちなどを特産品として育成中だ

たとえば、オリーブを餌に加えて育てた「オリーブ牛」や「オリーブぶり(ハマチ)」は、地域に根差した明確な個性を有しており、品質の高さもあって、熾烈な競争環境下でもサバイブできるブランドとなり得るだろう。とくに「ぶり(ハマチ)」は、日本における養殖が香川県から始まったというストーリー性が追い風となるに違いない。

2次産業においても同様のことがいえる。サトウキビ栽培の伝統のあった香川県は、かつて上質な白砂糖がつくられることで知られ、サトウキビ栽培が衰えた現代でも和三盆糖にその伝統は受け継がれている。歴史的に糖と深い縁を有する県として、香川大学を中心に、長年にわたって希少糖の研究と産業化に向けた取組みをしてきた。 これもまた他都道府県にはない唯一無二の独自のものだ。近年、世界的に希少糖への認知・関心が高まってきているとの声もあり、健康志向のいっそうの高まりを追い風に、中長期的には、県経済を支える産業となり得る可能性がある。

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