高級ひまわりオイルで注目 休耕田の活用から始まった6次産業化

香川県南西部の内陸に位置するまんのう町は、弘法大師が修築した日本最大のため池、満濃池で知られている。人々の目を楽しませ、地域を活性化するため休耕田にひまわりを植え始めたことから、健康に良く、スタイリッシュな特産品「まんのうひまわりオイル」が誕生した。

町内のひまわりの作付面積は約20ヘクタールに達する

休耕田で栽培したひまわりが原料

かがわ県産品コンクールで知事賞、優良ふるさと食品中央コンクールで農林水産大臣賞、日本農業新聞一村逸品大賞で後期優秀賞など、2018年・2019年と立て続けに物産品のコンクールで賞を獲得した商品がある。香川県まんのう町で製造されている『まんのうひまわりオイル』だ。その名の通り、ひまわりを原料としたこのオイルが、まんのう町の新たな産業として盛り上がりを見せている。そう、まんのう町は夏にはひまわり畑に100万本のひまわりが咲き、絶景が広がる、ひまわりの町なのだ。

「元々は、減反政策によって休耕田ができたところに、観賞用のひまわりを植えたことが始まりだったんですよ」と話すのは、まんのうひまわりオイルのプロモーションなどを手掛ける、まんのう町役場の阿宅伸一郎氏。

阿宅伸一郎 まんのう町 企画観光課地方創生推進室 職員

「観賞用にひまわりを植えているだけでも観光客は来てくれますが、それだけではもったいないと、農家さんたちは油用ひまわりに転換してオイルを絞り、道の駅や温泉で販売していました」。

ひまわり油は日本ではあまりなじみのない食用油だ。このため、まんのう町のひまわりオイルの売れ行きも当初は芳しくなく、事業としては苦戦続きだった。それでも、2016年からは町をあげてひまわりオイルを売り出そうと、より多くの農地でひまわりを栽培し始めた。その年は運悪く収穫期の長雨でほとんどのタネにカビが生えたことで搾油ができなかったが、行政と民間が一丸となって取り組む、新たなビジネスのスタートの年となったのだ。

ひまわりオイルの原料となる種子

ひまわりオイルのプロモーション

まんのう町で作られるひまわりオイルは、非常に品質が高いことが成分分析で証明されている。まんのう町のひまわりオイルはオリーブオイルなどと同じオメガ9系オイルの性質を持っている。老化防止に効果的と言われるビタミンEや、悪玉コレステロール値を抑えるといわれているオレイン酸を、通常のひまわりオイルのみならずオリーブオイルよりも多く含んでいるため、健康志向の人にとっては理想的なオイルなのだ。だが、ひまわりオイル自体の認知度が低いということに加え、これまでほとんどプロモーションも行っていなかったために、売れ行きは伸び悩んでいたという。

「質の高いまんのう町のひまわりオイルを多くの方々に知っていただくために、まずはボトルやラベル、パッケージのデザインを一新することから始めました。そのきっかけは、香川県にある百十四銀行の行員で映画監督もされている香西志帆さんと出会ったことです。香西さんは、まんのう町のひまわりオイルに大変興味を持ってくださり、デザインのリニューアルにアドバイスをしてくれました。そうして、2018年7月に新しく発売したのが『まんのうひまわりオイル』なのです」。

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