2019年4月号

スマートシティ 未来のまちづくり

ICTで安心安全なまちづくり 宮城県石巻市

亀山 紘(石巻市長)

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東日本大震災からの復興を進める石巻市では、被災した市民の生活の取り戻しと、災害に強いまちづくりを進めている。中心市街地に都市機能を集積・高度化するとともに、合併前の旧町中心部を地域拠点として整備し、拠点間をネットワークで結ぶことでコンパクトシティを実現する。

亀山 紘(石巻市長)

復興から新たなまちづくりへ

東日本大震災で最大の被災地となった宮城県石巻市。震災から8年が経過し、復興事業は進展し、市民の生活再建も進んできている。

一方で、もともとの課題であった人口減少や超高齢化社会を踏まえたまちづくりは、市の未来に向けた重要なテーマだ。そこで市では、中心市街地に都市機能を集積・高度化し、他拠点とネットワークで結ぶ「コンパクトシティ」と、高齢者だけでなく子育て世代や障碍者等も含めた全ての市民を対象とした「次世代型地域包括ケアシステム」の二つのまちづくりを推進している。

連携できるコンパクトシティ

「市民がいきいきと暮らすまちづくりで必要なのは、医療、介護、保健、そして福祉です。」と語るのは石巻市の亀山紘市長。

市庁舎の建つ駅前の中心市街地では、庁舎に隣り合う位置に市立病院を移転新築し、さらに2018年には防災の拠点として最新の防災センターを開所させた。

今後は医療・介護連携や子育て支援など5つの役目を果たす「ささえあいセンター」(仮称)を建築中で、付近に食や雑貨の店舗など、商店街の機能も持たせていくほか、民間事業として住宅の整備も進められている。

公共交通の中心拠点から近い中心地付近に施設をコンパクトに揃えることで、市民へのサービス向上につなげていくのがねらいだ。

中心市街地以外のエリアのまちづくりとの連携も重要だ。市内には中心市街地以外に6つのエリアがあり、うち、大きな被災を受けた北上・雄勝・牡鹿の3つのエリアで拠点づくりが行われてきた。これらのエリアと中心市街地は市が独自の通信網を構築しており、安定したネットワークで情報連携をすることができるのが石巻市の特徴だ。

これは震災の際に通信を欠く事態を経験した市が、強い通信網の配備を第一として取り組んできた結果である

地域全体で取り組む包括ケア

石巻市の地域包括ケアシステムでは三つの基本方針を掲げている。一つ目が、現状の地域包括支援センターの活動を活かすこと、二つ目が、仮設住宅などからの転居者に配慮すること、三つ目が、高齢者以外も含めた次世代型の地域包括ケアシステムにすることだ。

一般にいわれる医療・介護・保健・福祉だけではなく、障碍のある方とない方、年齢の離れた世代間、地域のコミュニティなどを通して、自助・互助・共助・公助の四つを実践している。2020年までにはさらに在宅医療の問題や、地域住民の生活課題の解決の体制整備も図っていく予定だ。

図 石巻市地域包括ケアシステムイメージ

災害に強い情報連携システム

災害に対する備えも、石巻市の重要なまちづくりのテーマだ。

「実際に災害が起きた時に一番問題なのは、情報の取得・発信ができなくなることです。」と語る亀山市長。

震災時はネットワークやライフラインの分断により、人・モノ・情報の移動が大きく制限された。市では今後は発災時でも市民の安全を迅速に確保する為に、災害関連情報を一元的に集約・管理し、必要な情報を多様なメディアを通じて配信可能なシステム「ORANGE(オレンジ)」を導入した。

このシステムでは国土交通省や気象庁などの公的機関からの情報や、インターネット事業者、SNS、インフラ事業者などからの情報も一元集約して、即時に職員や市民に情報発信ができるように構築されている。

例えば発災時は、防災センターから市民のスマートホンやタブレットに、避難所情報、ライフライン情報、地震・津波情報などを迅速・確実に伝達することができる。また、市民からも自身のスマートホンなどから防災センターへ要望が出せるようになっており、市で即座に協議して必要な場所に必要な救援物資を送ることが可能だ。

スマートホンやタブレットを持っていない高齢者等には、避難所に配備するデジタルサイネージで周知を行う。

図 情報連携システム・オレンジ

オレンジ内では市民(ユーザー)が本部に要望を送信したり、本部の出す情報を確認することが可能だ。

安全なまちづくりの意識醸成

石巻市は役所だけでなく市民の防災意識も高い。市役所が費用負担をする「防災士養成研修講座」ならびに「石巻市防災士スキルアップセミナー」は多くの市民が受講しており、日本防災士機構が認定する「防災士」の市民は、2019年2月時点で200名以上が認証されている。

防災士の養成は、今後も予想される災害発生時において極めて重要であり、地域の防災リーダーとして、救助活動や被災者ケア、避難所運営に関する専門知識などを持つ防災士が災害時に活動することで、地域防災力の向上が図られる。

石巻市では今後も災害に強いまちづくりとして、避難場所や避難路・緊急輸送ネットワークの確保など、先進的な取り組みを続けていく。

 

亀山 紘(かめやま・ひろし)
石巻市長

 

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