大手企業が5G実験の成果を公開 活用アイデアを社会で試す

社会インフラとしての早期の実現を目指し、総務省が2017年度に開始した5G総合実証試験。5G技術開発を担当するモバイル通信事業者と、将来のユーザーを巻き込んで、交通・医療・教育・公共サービスからB to Bまで、様々な分野で応用展開を試行している。

総務省、第5世代モバイル推進フォーラム、電波産業会は、第5世代移動通信システム(5G)を利用した新しいサービスに関するイベント「5G国際シンポジウム2019」を2019年1月29日、30日に開催。モバイル通信キャリアや通信機器メーカー、コンテンツプロバイダから自治体まで、様々な参加者を集めた。

商業利用レベルに到達

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催と合わせて、国内でも5Gの商業利用が始まろうとしている。総務省は、2017年度、2018年度と、「5G総合実証試験」を実施。これは、5Gの実現による新しい市場の創出に向けて、様々な分野のユーザーが参加する総合的な実証試験だ。

5Gは、これまでの3Gや4Gを発展させた「超高速」だけでなく、「超低遅延」、「多数同時接続」といった特長を持つ。実証実験は、技術的な検討と合わせて、社会の中でこれをどのように使っていくかを、実地で模索しようというものだ。5Gの技術開発に加えて、現場で利用した場合のユーザーの反応も研究の対象になる。

今回のイベントでは、総合実証試験の進捗や、成果が報告された。5Gと蒸気機関車という、新旧技術の組み合わせで注目を集めたプロジェクトが、NTTドコモと東武鉄道による実証実験だ。東武鉄道が東武鬼怒川線で運転している「SL大樹」を使ったもの。煙を吐きながら爆走するSLの姿は鉄道ファンの人気の的だが、乗車するとリアルタイムで見られないという難点があった。そこで、新しい鉄道の楽しみ方として、乗客に高精細ライブ映像を届ける試みがなされた。実験では沿線の一部に5G通信エリアを構築し、8Kビデオカメラで撮影したライブ映像を5Gで伝送、客室内のテレビで鑑賞することに成功している。

KDDI、大林組、日本電気による実証実験は、2台の建設機械を遠隔操作により連携させる作業を行うもの。大林組が蓄積していた建機の遠隔操作システム構築のノウハウと、低遅延という5Gの特徴を組み合わせている。この実験では、作業現場において、ショベルカーからダンプカーへの土砂の受け渡しに成功した。対話型の音声制御システムを施工現場に導入し、音声のみで5G搭載建機を遠隔操作することにも成功している。イベント会場では、操作席を備え付けたコンテナを公開し、遠隔での建機操作の様子を来場者に見せた。

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