島と世界の御縁をつなぐ 離島で外国人を呼び込む「宿」を起業

リゾート施設もコンビニも無いような離島で旅館&ゲストハウスを立ち上げ、外国人客を呼び込む。また、スタッフとしても外国人を活用し、積極的な情報発信を行う。島宿御縁のオーナー、岩永太陽氏は「子供たちに、『この島でもやれる』ことを見せたい」と語る。

岩永 太陽(島宿御縁 代表)

九州本土から西へ約50㎞、五島列島の北部にある人口約2500人の小値賀島。雄大で美しい独特の景観と海岸美、日本の原風景が残る島として知られ、リゾート施設もコンビニも無いような土地でありながら、旅行客が訪れる。

また、住民たちが協力しながら、島暮らしそのものを楽しむ体験を提供する「おぢかアイランドツーリズム」は、先進的な観光施策として全国的に注目されている。

その小値賀島で、10を超える国・地域から外国人宿泊客を呼び込み、地域に新たな活力をもたらしているのが、2015年にオープンした「島宿御縁」だ。リピーターも多く、直近の稼働率は90%を超えているという。

五島列島の北端に浮かぶ小値賀島は、島全体が国立公園に指定され、懐かしい日本の原風景が残る島として「日本で最も美しい村」にも選ばれている

外で刺激を受け、島にUターン

島宿御縁のオーナー、岩永太陽氏は母が小値賀島の出身であり、小学校2年から高校までをそこで過ごした。しかし、当時は地元に対して否定的な思いもあり、高校卒業後は島を飛び出してアメリカに留学。現地でTESOL(英語教授法)の資格を取得し、2003年に帰国して英語塾講師や飲食店スタッフ、外国人向けツアーガイドなどに従事していた。

「ガイドとして外国人を各地に連れていく中で、田舎を案内すると反応がすごく良くて、地方に可能性を感じたんです」

ツアーガイドの仕事にやりがいを感じていた岩永氏だったが、全国を飛び回る必要があるので家は不在にすることが多かった。結婚して子供ができたことで、家族との時間を持つため、ツアーガイドを辞めて小値賀島へUターンすることを決意する。

「帰ったら、宿をやろうと決めていました。宿は泊まるだけではなくて、観光や飲食、物販の機能もあって、コミュニティの拠点にもなります。宿であれば、これまでのキャリアをすべて活かせると考えました。ツアーガイド時代に小値賀に外国人を連れて行ったら好評だった経験もあって、外国人をターゲットにすることは最初から決めていました」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り59%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。