ママが起業、宅配クリーニング 洗濯のプロのネットビジネス

島原半島にある創設80年の老舗クリーニング店がスタートアップを設立し、インターネットのサービスに参入。CEOの神崎志織氏は、ママ起業家として、競争が激化している宅配クリーニングの市場で、「本職」の強みを活かす。

神崎志織 クラスタス 代表取締役CEO

クリーニング店に行く必要がなく、ネットで申し込んで衣類を宅配便で送るだけ。ネット宅配クリーニングのサービスが各社から登場している。その市場に、長崎県南島原市の老舗クリーニング店を母体とするスタートアップが参入した。

宅配クリーニング『Nexcy(ネクシー)』を提供するクラスタスは、きめ細やかなサービスと顔が見える安心感で事業の拡大を目指している。

始まりは「悩めるママ」の気づき

クラスタスは、CEOの神崎志織氏、CTOの神崎健輔氏、COOの神崎光博氏の3人が2014年9月に立ち上げた会社だ。COOの光博氏は、島原・南島原・雲仙で最大手のクリーニング店「白洋社」の社長であり、CEOの志織氏は受付担当だった。

白洋社は創設80年の会社だ。宅配クリーニング事業を始めたのは、志織氏の"悩めるママ"としての気づきがきっかけだった。

「2014年に双子を授かったのですが、2人乗りベビーカーを押して外出するのは大変でした。日用品の買い物はインターネットで便利になる一方、クリーニングは不便。自分の他にも、子育て真っ最中の女性や仕事に追われるOLやビジネスマンなど、クリーニングをネットで済ませたいと考えている人は多いと思ったんです」(志織氏)

その思いを、夫であるCOOの光博氏や義兄であるCTOの健輔氏も後押し。すぐに事業化に向けて走り出した。しかし、3人はクリーニングのプロであり、ITに詳しいわけではない。試行錯誤を続けていた中で、南島原市が誘致したIT企業の経営者に出会い、その協力を得たことで『Nexcy』を開発することができた。

神崎健輔 クラスタス 取締役CTO

「地方だと、突出した人の存在が見えやすく、SNSで目についた人に対してアプローチもしやすい。仲間や意見を聞ける人たちを増やしていったのが、1年目、2年目でした」(健輔氏)

クリーニングを本職とする強み

2015年3月にスタートした『Nexcy』は、累計1万件以上の利用実績のあるサービスに育っているが、これまでクリーニングが原因のトラブルはほぼ無いという。

『Nexcy』は、島原・南島原・雲仙で最大手の神崎健輔 クラスタス 取締役CTO 老舗クリーニング店「白洋社」から生み出された

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