3代目の挑戦 町工場をグループ化、世界で戦える企業群に

経営危機にあった町工場が起死回生、航空宇宙・医療関連への思い切った業種転換で、10年で売上を4倍にした。由紀精密の大坪正人社長は、さらなる事業拡大に向けて、2017年に持ち株会社を設立。ものづくり企業をグループ化し、「町工場」の可能性を広げている。

由紀精密は、60年に渡って培ってきた切削加工技術を活かし、精密部品の製造を手掛ける

大坪 正人(由紀ホールディングス 代表取締役社長/由紀精密 代表取締役社長)

由紀精密は1950年に創業。金属の精密切削加工を得意とし、下請けの部品工場としてねじの製造などを手掛けてきた。しかし、3代目の大坪正人社長が入社した2006年、事業は縮小を続けており深刻な経営危機にあった。それから約10年、由紀精密は当時と比べて売上げが4倍の約5億円になるなど復活を遂げている。

大坪社長が行った改革は主に2つ。独自に開発部門を立ち上げたこと、そして航空宇宙・医療関連へと事業をシフトさせたことだ。

今、由紀精密は、自社のことを「研究開発型」町工場と呼んでいる。開発部門を強化し、提案力・設計力を高めているからだ。開発業務は、多い年で売上げの約半分を占めている。

また、航空宇宙・医療関連ではロケットエンジンや人工衛星の部品などを手掛けており、売上げの約20%を占めている。改革を成し遂げることができた要因について、大坪社長は「粘り強く諦めずに続けたこと、長期スパンで取り組んだこと、既存事業へのリスペクトを大切にしたこと」を挙げる。

「航空宇宙・医療に参入すると言っても、すぐに仕事があるわけではありません。ただ、仕事が無くてもできることはあります。航空宇宙部品の製造をやりたいと常にアピールしたり、何年もかけて認証規格を取得するための準備を続けたりしました」

航空宇宙・医療分野が軌道に乗るまでに、5年程かかったという。結果が出ない時代にも、大坪社長はブレなかった。

「100年ビジョンを掲げ、長期のスパンで計画を立てて、会社が変わらないと将来がないことを社員と共有しました。また、そもそも当社には、素晴らしい技術があります。既存事業を否定するのではなく、長年培ってきた技術の延長線上に新しい市場を開拓したから、成長できているのだと思います」

由紀精密は「研究開発型」町工場であり、提案力・設計力を高めて、受託開発を強化している

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