岩手県矢巾町×楽天 官民の熱意で変化、挑戦する町に

人口約2万7000人の自然豊かな町、岩手県矢巾町。盛岡市のベッドタウンであり、町民自らが「特徴がないのが特徴」と表現するその町で、今、数々の挑戦が始まっている。変化の契機となったのは、2017年2月に締結した楽天との包括連携協定だ。

左から、吉岡律司(矢巾町企画財政課課長補佐)、高橋昌造(矢巾町長)、柘植正基(楽天 地域活性課コンサルティンググループ マネージャー)、戸田善之(トゥレイス代表取締役)

連携で育った地域の"稼ぐ力"

矢巾町の高橋昌造町長は楽天について、「パートナー以上のパートナー」と語る。お互いに汗をかき、地域の課題解決に向けて並走しながら、深い協力関係を築いてきたからだ。

楽天との包括連携協定は10項目にわたり、数々の成果をあげている。取り組みの1つである「ふるさと納税の推進」では、協定締結の前後で年間寄付総額が約400万円から14億円以上と、300倍以上の伸びを記録した(※)。※楽天ふるさと納税以外も含む年間総額

 

矢巾町が楽天との包括連携協定に至ったのは、まちづくり推進を担当する矢巾町企画財政課、吉岡律司氏が内閣府主催のイベントで楽天の担当者と出会ったことがきっかけだ。

「もともと私たちは、自分たちで地域活性の施策案をつくっていました。その案について、実は楽天さんだけでなく複数の会社から意見を聞いたのですが、他の会社は『この案、素晴らしいですね!』と評価して自社サービスを売り込むスタンスでした。でも、楽天さんは違ったんです。私たちの既存案に対して、厳しい意見をくださりました」(吉岡氏)

その時、楽天から指摘されたのは、次のようなことだった。絵としてはキレイな計画を策定しても、誰がやるのか、どうやって地域の"稼ぐ力"につなげるのかという視点が不在では、本当の活性化につながらない。また、矢巾町だけでなく、他の地域にも当てはまるような総花的な絵を描いても、続かないし根付かない。地域活性のためには、町の「らしさ」を大事にする必要がある――。

矢巾町は楽天をパートナーにすることを決定し、地域活性への取り組みを開始した。

「楽天さんの担当者はフットワークが軽く、矢巾町に何度も足を運んでくれました。一緒に町の魅力や課題を探すことから始め、楽天さんの既存サービスを活用するだけでなく、課題解決につながる施策を一緒に考えていったんです」(吉岡氏)

矢巾町を担当した楽天地域活性課コンサルティンググループマネージャー、柘植正基氏は「当社には、人や地域に寄り添って、どうすれば課題を解決できるかを考える文化があります。矢巾町では、こちらが熱意を持って接すると、それ以上の熱量を持って職員の方々が次々とアイデアを提案してくれました。どんなアイデアが出ても『やってみましょう』と言えるのが、70以上のサービスを持つ楽天の強みです」と語る。

町民、地元事業者に変化、
自ら挑戦に動き出す

町民が自ら「特徴がないのが特徴」と表現する矢巾町だったが、共にフィールドワークを繰り返すうちに、そこに住む人こそが町の「らしさ」であることに気づいたという。

「矢巾町には、素敵な人、ユニークな人がたくさんいます。そこに焦点を当てて地域をブランディングするため、『つながるまち。やはば』をコンセプトに据え、町の魅力を表すキービジュアルとして、人が両手を上げたポーズ(Yのポーズ)や『黄色いバトン』のロゴマークを制作しました」(吉岡氏)

そのロゴマークは、多くの地元事業者の協力を得て、様々なグッズやサイト、ふるさと納税のPRなどにも展開され、全国への訴求力を高める一助となった。

ふるさと納税寄付額の大幅上昇も、「つながるまち。やはば」の体現の1つだ。そこで大きな役割を果たしたのが、協定による事業の一環として矢巾町と楽天が設立した地域商社のトゥレイス代表取締役、戸田善之氏だ。

「地域の生産者1件1件を周り、返礼品の出品からその後の運営までを細かくサポートしました。当初、返礼品は10品程度でしたが、今では自発的に協力してくれる生産者も増え、180品以上に増えています」(戸田氏)

「楽天社員の熱意に触れ、結果が出てきたことで、『やればできる』と多くの人が動き始めました。行政主導ではなく、町民・事業者が主役となって取り組みが広がっています」(吉岡氏)

ITを利用し、地域が本来持つ
魅力を引き出す

地域側の提案によってオリジナル商品も生まれている。横浜ビールとコラボして開発したクラフトビール『YB』は、一度、横浜ビールの社長から断わられたものの、楽天社員が同行して再度提案したことで実現に至った。『YB』は、返礼品としても提供される予定だ。

横浜ビールとコラボして開発したクラフトビール『YB』

包括連携協定の下、様々な成果が生まれているが、楽天の柘植氏は「当社は、きっかけを提供したにすぎません」と語る。

「地域によって課題はそれぞれ異なるため、他の地域が、矢巾町のような取り組みを表面的に真似しても、必ずしも成功するわけではないと思います。官民連携はスキーム(枠組み)の話ではなく、人と人とが本気でつながっていけるかが大切。ふるさと納税についても、生産者の想いは返礼品に表れます。本気の想いがあるから、リピートにもつながる。原点となるのは、人の気持ちであり、愚直な努力。私たちがしているのは『エンパワーメント』、つまりITを利用しつつ、その地域が本来持つ魅力や価値を引き出すことです」(柘植氏)

矢巾町の高橋町長は、「楽天さんとのパートナーシップをさらに進化させていきたい」と決意を語る。

「楽天さんとの協業は、職員の成長にもつながっています。ふるさと納税によって矢巾町の認知度は高まりましたが、今後は産品を届けるだけでなく、そこからファンを増やし、人を呼び込むことにも力を入れていきます」(高橋町長)

楽天との共創をきっかけに人の意識が変わり、挑戦が始まり、町に活力が生まれた。それは、地域の"稼ぐ力"を育むことにつながっている。

お問い合わせ


楽天株式会社
クライアントコミュニケーション部 地域活性課
Tel:050-5817-3600
Mail:ec-area-support@mail.rakuten.com
URL:https://www.rakuten.co.jp/

 

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