BtoBとBtoCの間でシナジーを生み出す、マーケティング戦略
BtoB企業は従来、特定の顧客に商材を販売してきたため、マーケティングが軽視されてきたが、近年はこの状況に変化がみられる。慶應義塾大学教授の余田拓郎氏に、BtoB企業のマーケティング戦略について聞いた。
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余田 拓郎(慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授)
マーケティングは全社活動
従来のBtoB企業は、特定の顧客に自社の商材を販売してきたため、マーケティングが軽視されてきた。このため、あまりマーケティングを活用できていなかったが、近年はこの状況が変化している。
「第1に、新規顧客を獲得するツールがインターネットなどに拡大し、それらのインフラを活用する必要が生じています。第2に、現在は営業人材が非常に不足しています。特に、あまり名前が知られていないBtoB企業では、優秀な営業人材の獲得が難しくなっています」
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の余田拓郎氏はこう指摘する。このような中で営業力を強化するためには、BtoB企業もデジタル・マーケティングなどを展開する必要が生じている。他方で、最近はBtoB企業の業績が向上しており、その利益をテレビCMやプロモーションに投入するところも増えている。
「企業の最終目標は、going concern(永続性)で、これを担保するには属人的な営業よりも組織的な営業が求められます。特定の優秀な営業マンが会社を辞めても、継続的に営業活動を行っていく必要があるからです」
そのためには、マーケティングをしっかり行い、環境の変化を分析し、その変化に活動を合わせていくことが重要になる。その際、求められるのはマーケティングを正しく理解していることだ。
「米国の経営学者、フィリップ・コトラー氏が2013年に来日した際、『マーケティングがまだまだ、正しく理解されていない』、『単なるプロモーション手法だという誤解が蔓延している』と指摘しました。マーケティングのフレームワークを正しく理解していなければ、その可能性を取り込むことはできません」
かつて、経営学者のP.F.ドラッカーは「企業の成長にはイノベーションとマーケティングが欠かせない」とし、また「マーケティングは全社活動だ」と述べていた。事業は結局、どのようなものを開発しても、それが売れなければ成り立たない。そして売るために必要となるのはマーケティングで、「マーケティング=事業の本質機能」と考えることもできる。
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