SDGsビジネスの第一人者が語る SDGs推進3つのポイント

SDGsを推進するために、イノベーションを通じて社会課題を解決する事業が求められている。地域と企業、クリエイターを結びつけて多拠点で活動しながら社会課題を解決に導く環境づくりを進める平本督太郎氏にSDGsビジネスを推進するポイントについて話を伺った。

平本 督太郎(金沢工業大学 SDGs推進センター長/BoPグローバルネットワークジャパン 代表理事)

SDGsを推進する3つのポイント

――持続可能な開発目標(SDGs)を推進していくうえで重要なポイントとは何でしょうか。

1つ目は「地球規模で考える」。これはグローバルとローカルの両立を目指す考え方です。イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ政権誕生は、いずれも自国と外国の利害をめぐる政治的対立の帰結と考えられます。そのため、これからの時代においては「地域活性化」と言った場合も、自地域の利害のみにこだわらず、他地域で同様のことを考えている人たちも役立てられる仕組み作りに発展させる、という考え方に持っていく必要があります。

2つ目はSDGs全体のテーマでもある「誰一人取り残さない」。特に、取り残されていく人たちを新たに生まない仕組みが必要です。このためには、課題を解決するときに他の課題が発生している可能性(トレードオフ)に注意を払い、その新しい課題を自分たちで解決できないときには、社会との対話によって、他の団体とパートナーシップを組むことでそれを解決していく、といった次善の策が必要です。

3つ目は「バックキャスト」。理想の未来を描いたうえで今やるべきことを考えていく方法です。そもそもあるべき社会像を共有しないと、課題が特定できません。あるべき社会像が変われば、課題も変わってくるからです。

これは、限られた資源をどこに投入するかという選択の問題も絡んできます。現在から未来を予測することはビッグデータや人工知能(AI)を使って可能ですが、他方で従来にない概念を採り入れて社会システムの捉え方を根本的に変えることは、人間のクリエイティビティをもってしか実現できません。

もっとも、いきなり3つを同時に実践することは難しいので、一つ一つできるところから手を付けるのが現実的です。地道に取り組みを進められるか否かが、SDGsの達成を目指した取り組みが「SDGsウォッシュ(SDGsに対応しているように見せかけること)」になってしまうのか、SDGsの達成に不可欠な取り組みへと発展していくのかの大きな分かれ目となります。

図 SDGsを考える3つのポイント

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