日本発でGoProのような成功を IoTを支える黒子、表舞台へ

ハードウェアビジネスの黒子として、多くの製品の企画、開発、量産化をサポートしてきたFORMULAの西野充浩氏。2018年、新しいIoTデバイスを自ら企画する事業にも乗り出した。多くの企業がIoTに参入する中で、業界に精通するプロフェッショナルは、どこに商機を見出したのか。

ユニロボット社のコミュニケーションロボット『unibo』。FORMULA・西野代表がハードウェアの開発・量産化をサポートした

「メイカーズ」がブームとなり、ハードウェアベンチャーが注目され始めたのが2012~13年頃。今ではアメリカ、中国を中心に多くの企業が乱立し、しのぎを削っているが、日本の存在感は大きくはない。

こうした状況に危機感を抱き、「日本のハードウェアベンチャーが世界と戦えるようにサポートしたい」と語るのが、西野充浩氏だ。

西野 充浩(FORMULA 代表取締役)

2013年にハードウェアの企画から量産化までのコンサルティングやサポートを手掛ける企業、FORMULAを立ち上げた。

独自のキャリアを歩んだ強み

西野代表は工学院大学を卒業後、電子部材メーカーに入社。そこで働きながら、ハードウェアが多様な部品で構成され、国内外の企業が複雑に協力し合ってモノづくりが成立していることに興味を抱いた。

そして、「もっとサプライチェーン全体を知りたい」と、英語を学ぶためにワーキングホリデーを利用してニュージーランドへ。帰国後は、EMS(製造受託サービス)大手のFlextronicsに入社し、日系ハードウェア企業の開発・製造を支援していた。

「ハードウェアビジネスの黒子という仕事に誇りや面白さを感じていました。一方で、日本のモノづくりの競争力は低下し続けていて、自分に何かできることはないかと考えていたんです。日本の課題と自分がやりたいことがリンクし、FORMULA の設立を決めました」

西野代表が提供するのは、どのような企画が良いのか、試作をどうつくるのか、量産化には何をすべきかなど、クライアントが持つ製品アイデアをカタチにし、ハードウェアビジネスを成功に導くためのノウハウだ。

西野代表は、FORMULAを設立した2013年時点で「メイカーズ・ブームで日本にもハードウェアベンチャーが増えるという確信があった」と語るが、それらを支援する「黒子」がビジネスとして成り立つのか、見通しは立っていなかったという。

「日本のベンチャーは面白い製品アイデアがあっても、それを量産化まで持っていくノウハウが不足しているのはわかっていました。一方、大手メーカーは、量産化に携わる人材を社内に抱えていますが、その業務は購買や調達、開発などに細分化されていて、量産化を含めたハードウェアビジネスの創出に包括的に詳しい人はいません。私のようなキャリアを歩んでいる人はほとんどおらず、結果的に非常に大きなニーズがあったんです」

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