「九州の中心」を奪還できるか 熊本のチャンスとリスク
熊本県は長く『九州の中心』として栄えてきたが、戦後はその地位を福岡に奪われている。戦略的企業誘致や、交通結節点の拠点化などの熊本県の地方創生に向けた取り組みには、どのような可能性と課題があるのか。
「すべての道は熊本に通じる」
17世紀のフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌは『寓話』の中の『裁判官と修道士と隠者』に、「すべての道はローマに通ず」と書き遺したと言われる。
転じて、「熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を紐解くと「すべての道は熊本に通じる」と書かれている。たしかに、歴史的に熊本県は『九州の中心』であるとともに、全国的に見ても枢要な地域であった。
江戸時代、私塾を含む寺子屋数の数では、熊本県が長野県・山口県を抑えて全国1位であったし、明治期(1894年)、地方における高等教育機関として旧制高等学校が全国に8校設置された際には、熊本市に第五高等学校が設立されている。また、明治建軍に際して1871年10月に設置された全国4か所の「鎮台」に、仙台・東京・大阪3都市と並び九州から唯一選ばれたのは熊本市であった。
戦後、九州における中核的立ち位置は福岡県(とりわけ福岡市)に取って代わられ、熊本県(ならびに熊本市)は、一転してローカルな存在になってしまったようにも見える。しかし、歴史に裏打ちされた『九州の中心』としての県民の自負は強いものがあり、それが県の創生エンジンとして機能することが今、期待されている。
熊本県のSWOT分析
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