シビックプライド調査ランキング 総合1位の市区町村は?

まちに対して持つ誇りや愛着をシビックプライド(CP)という。2018年は、関東と関西で調査を実施し、CPランキングを発表した。CPの源や背景を探れば、自治体の次の施策を考えるヒントを得られる。

上野昭彦 読売広告社R&D局局長代理 ひとまちみらい研究センタープロデューサー

「シビックプライド」(CP)とは、「まちに対する住民の誇り」のこと。住民のCPの源泉、背景となっている事象を把握すれば、住民に支持される自治体運営を行う上での「次の一手」を考えるヒントにもなる。

CPの醸成を考える自治体をサポートしてきた読売広告社は、2018年のCP調査の結果を、2018年5月22日の自治体マーケティング広報フォーラムで初めて公開した。

2018年 シビックプライドリサーチランキング

CP調査の範囲を関西に拡大

読売広告社では、2016年にも首都圏在住の男女に対するCP調査結果を発表している。どのような自治体で、CPが高くなるのかをより精緻に確認するため、今回の調査では調査対象を拡大した。関東1都6県と関西2府4県の、人口10万人以上の151自治体に在住する、20代から50代の男女に対してインターネット調査を実施。1自治体からの回答数が50を超えるように、8487人から回答を得た。

調査対象の人が住んでいる自治体への評価は「愛着」「誇り」「共感」「継続居住」「推奨意向」および総合ポイントの、6つのランキングで集計した。「CPの源泉はまちごとに異なります。CPランキングを通じて、住民の誇りの源泉を知ることができるのです」と、読売広告社R&D局局長代理でひとまちみらい研究センターのプロデューサーを務める上野昭彦氏は話す。

「共感」の1位にランクインしたのは、大阪圏のベッドタウンである箕面市だ。箕面市は、「子育てしやすさ日本一」をアピールしている自治体。「自治体に『共感』している人たちの回答からは、その自治体の良い面の特徴が見えてきます。箕面市の場合は『のびのびできる』でした」。

また今回の調査で、「継続居住」のランキングは「愛着」と、「推奨意向」は「誇り」と類似する傾向が確認できた。これは、「愛着」は継続居住への影響が強く、「誇り」は「人に勧めたい」ことへの影響が強いという、CPに関する研究を裏付ける結果だ。

総合得点では東京都心の3区が上位にランクインした。総合ランキングが下位の自治体には、商業地域や工場の拠点があるなど、特定の産業への偏りが見られ、人口が減少しているなどの特徴があった。同じまちでも年齢層・地域によるCPの差の有無や、条件が同じでも下位にならない自治体との比較などは今後の研究課題と言える。

CPと自治体データの相関性

同社が今回の調査のCPの各指標と、自治体のデータを突き合わせて分析したところ、CPとプラスの相関があったのは「年少人口増減率」「生産年齢人口」「市民参加」など。 今後は、「CPと自治体政策との関係などについて明らかにしていきたい」と上野氏は言う。同社は2018年1月には、埼玉県戸田市と協定を締結し、CPの効果やCPの醸成に役立つ活動などの研究を開始している。他の自治体ともこのような研究を実施したい考えだ。

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