位置情報で絞込み 地域の人に合ったコンテンツ届ける

ネットユーザーの位置情報に基づき、情報提供するIP Geolocation。特定の地域の人に、厳選した情報を届ける際に、その真価を発揮する。地域のブランディングの際に有効なツールとして利用できる。

(左から)山本敬介 Geolocation Technology 代表取締役社長、甲賀 雅章 CIセンター 代表取締役プロデューサー

インターネットユーザーのIPアドレスを手がかりに100種類以上の情報を判定する技術「IP Geolocation」を提供するGeolocation Technology。今回のフォーラムでは、同社の技術を活用した広告、マーケティングによる効果的なシティプロモーションの可能性が提示された。

IPアドレスは、スマホなどインターネットにつながる1つ1つの端末機器を識別する番号で、これをもとに国、地方、都道府県、地区町村などの位置情報や組織名、業種、売上高、資本金などの企業情報を導くことができる。

同社がIP Geolocationの技術を使って提供している、主力のサービスの1つが、アクセスユーザーの位置情報を瞬時に判別しコンテンツを最適化する「エリアターゲティング」だ。航空会社や自動車ディーラーのホームページにアクセスすると、最寄りの空港やショールームが表示されるのがその一例だ。「特定の地域の人にだけ表示できるエリアターゲティングバナー広告を使えば、商圏の拡大や新規顧客の獲得につなげることができる」と同社代表取締役社長の山本敬介氏は話す。

もう1つが、サイトの訪問者の属性を認識してアプローチする「アカウントベースドマーケティング」だ。「福岡県は企業誘致のページにアクセスした企業にDMを送り、実際に誘致につながったケースもある」という。

シティプロモーションには地域再生、観光振興、住民協働など様々な概念が含まれる。山本氏は、「地域住民の愛着度の形成」と「自治体名の知名度の向上」と定義づけている。「それぞれの主役である地域住民、地域外住民に対し確実に効果的にPRするのにIP Geolocationの技術が生かせると考え、検証を重ねている」と述べた。

大阪府立江之子島文化芸術創造センターは、IP Geolocationの技術を活用して、絵画展のPRのため、大阪府民に限定してエリアターゲティングバナー広告を2週間配信した。結果は、インプレッション(広告が表示された回数)が約190万回、サイト流入数が2333件となった。その後、同センターで行われた対談イベントについてもバナー広告を配信したところ、広告配信前のホームページアクセス数1日平均35回に対し、配信後は1136回に増えた。同センター館長で株式会社CIセンターの代表取締役プロデューサーの甲賀雅章氏は「IP Geolocationの技術を使ったプロモーションはターゲットが明確で効果的」と評価した。

デザインや広告に精通し、企業や自治体のPRのコンサルティングを数多く手がけてきた甲賀氏は、「プロモーションするためにはまず、その町ならではの魅力や優位性が何か、を明確にすべき。それが、期待を裏切ることのない保証で裏付けられた時にブランドとしての価値を獲得する」と持論を展開。こうして得られた「カスタマーズ・ロイヤリティ(顧客の忠誠心)」こそブランディングの最大の効果であり、これが達成できれば「顧客がリピーターになり顧客自身がブランドの情報発信者になる」と述べた。「IP Geolocationを使えばもっと効果的にもっとターゲットを明確にプロモーションが可能になる」という。

山本氏は「エリアターゲティングバナー広告は、民間では当たり前に使われるようになったが、自治体からの発注がほとんどない。自治体のプロモーションにもぜひ当社の技術を役立てたい」と意欲的だ。

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