「CES」に見るAI・IoTの最新動向 日本に求められる戦略は?

「第四次産業革命」と言われる現在、イノベーションの速度は著しい。特にビッグデータの蓄積と電気製品の結合はAIの大革新を促している。市場動向を端的に映す国際見本市の動向から何が見えるのか。

関口 和一(日本経済新聞社 編集委員)

諸外国を数多く取材する関口氏は、先端動向から市場を洞察する。中でも毎年1月に米ラスベガスで開かれる「CES」は、全米民生技術協会(CTA)が主催し、その年の新技術の流れを示す家電・IT(情報技術)の見本市だ。9月に独ベルリンで開かれる欧州最大の家電見本市「IFA」と併せ、AIなど最先端の技術トレンドを展望する示唆に富む機会とみる。

AI・IoT・ビッグデータの
ダイナミックな連動

「急速なデジタル化は特に (1)家電のデジタル化、(2)車のデジタル化、(3)映像のデジタル化、(4)サービスのデジタル化、(5)金融のデジタル化という5つのトレンドに表れていると考えています。また、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの進展で、音声など様々な情報をビッグデータとして人工知能(AI)で収集・解析することで、ユーザーにとって最適な商品やサービスが提供されるようになりました。このIoT・AI・ビッグデータの『デジタル3点セット』が大きな影響力を持ちつつあります」

家電とそこに蓄積されるビッグデータをつなぐ身近な例が、スマートスピーカーだ。「その先駆けは Apple社が出したSiri です。彼らは自社の技術を表に出さず独自に開発を進めてきましたが、グーグルやアマゾン・ドットコムはこうした音声認識技術をプラットフォームとして提供し、新たな市場を競い合っています。 パソコン時代はキーボード、スマホ時代はタッチパネルへと入力インターフェイスが変化してきましたが、スマートスピーカー時代の今は音声認識が主流となりつつあります」

車のデジタル化で
自動運転や「部屋型の車内」も

車のデジタル化を象徴する言葉はCASEと呼ばれている。CASEとは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)という4つの流れの頭文字を表す言葉だ。

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