2018年8月号
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AIの進化 本当のインパクト

人工知能学会・前会長が語る、人とAIの協調が生む新事業

山田 誠二(国立情報学研究所 教授、総合研究大学院大学 教授、人工知能学会 前会長)

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人工知能(AI)には、新ビジネスへ応用される期待も高い一方、「人の仕事が奪われる」とする不安など、さまざまな議論が錯綜している。人とAIの協調は何を生むのか。業界をリードする研究者に聞いた。

山田 誠二(国立情報学研究所 教授、総合研究大学院大学 教授、人工知能学会 前会長)

こんにちの人工知能(AI)を牽引しているディープラーニングの原型は、福島邦彦氏(元・大阪大学教授、現・ファジイシステム研究所特別研究員)による「ネオコグニトロン」(学習によって視覚パターン認識能力を獲得していく 畳み込みネットワーク)にあります。推論・探索を中心とした1950年代の第一次AIブーム、エキスパートシステムの開発を中心とした1980年代の第二次AIブームのあと、しばらく不遇の時代が続きました。

2000年代に入り、高いパワーを持つ計算機が開発され、深層学習に必要な訓練データが膨大に入手できるようになり、ディープラーニングを軸に据えた第三次AIブームへとつながっています。もともと脳の視覚野を範としたことから、画像情報処理に強みを有しています。

具体的な応用では、CTスキャンなどの医療用画像処理や、道路・建造物の老朽化に対する診断などが挙げられます。従来は専門家の目視や聴音によっていた作業が、AIの導入により24時間不休で大量に遂行可能となりました。膨大なパターンの蓄積によって属人的な経験知を伝承すると共に、人件費と人手を大幅に節約することにつながります。

私たちの生活に身近な例ではスマートスピーカーがあり、米国のIT系企業のGoogle HomeやAmazon Echoなどが市場を席巻しています。

――例示された産業分野は医療や福祉など公的性格が強いですが、行政への連関も多いのでしょうか。

まさに官庁や自治体の当該政策担当者は、こうした面で業務の効率化につながる新事業に目を配っています。高齢化と過疎化の進む地方では、独居者の見守りが社会課題となりますが、AIにより個々人の生活をスマートメーターへプロットすることにより、従来の生活パターンからの逸脱が生じた場合、異常として検知し、家族などに注意を促すシステムの開発が進められています。他にも、ルーティン的な行政手続などは、RPA( Robotic Process Automation) ベースのAIに代替されていく可能性が高いと思います。もっとも、AIを人々の日常生活の局面で実装するには、プライバシー保護など情報セキュリティを充分保証することも必要です。

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