2018年2月号

構想を実現する戦略広報

ユーグレナ出雲社長が指摘 「ベンチャーこそ広報を重視せよ」

出雲 充(ユーグレナ代表取締役社長)

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出雲 充(ユーグレナ代表取締役社長)

1万人運営を目指すプログラム

上野:「グラミンユーグレナ」というグループ会社を立ち上げられ、バングラデシュで野菜を作っているそうですね。現地に仕事を生み、緑豆は日本に輸出してもやしの原料になると聞いています。ベンチャーとソーシャルビジネスがうまく融合しているという印象を持ちました。

出雲:バングラデシュでは今2つのプログラムが動いています。その一つが「グラミンユーグレナ」が行う事業です。バングラデシュのグラミングループと合同で実施しているソーシャルビジネスで、その第一歩が「緑豆プロジェクト」です。日本はもやしの原料の緑豆をほぼ100%輸入に頼っていて、世界的な食糧価格高騰のあおりに見舞われています。そこで、バングラデシュの農家が育てている緑豆の生産性を日本の技術で安定的に向上させて、日本に供給しようという、売り手、買い手、世間の「三方良し」を目指す活動です。今後、数年で1万人の農家に参加いただける規模を目指しています。

もう一つは、「ユーグレナGENKIプログラム」です。野菜・肉・魚に含まれる59種類の栄養素をバランスよく持つユーグレナを、栄養失調に苦しむ世界中の子どもたちに届けることを目標にしたプログラムです。今は毎日実質8000人の小中学生に給食としてミドリムシの入ったクッキーを食べてもらっています。

「グラミンユーグレナ」も「GENKIプログラム」も、まずは1万人で運営ができるようにしたいと思っています。そのノウハウを10カ所でやれば10万人に展開できますから。

広報と知財をおろそかにしない

上野:あまり意識していないかもしれませんが、社長ご自身がいろんなところでお話しになること自体が大変素晴らしい広報活動であるという声をよく聞きます。

出雲:僕は会社をつくる時に色んな大学発ベンチャーを調べて、うまくいっていないところは決定的に「広報」と「知財」が足りないと気づいたのです。

大学発ベンチャーは、技術が優れているほど自信過剰になり、広報と知財をおろそかにする傾向にあります。こんなに素晴らしい技術なのだから広報しなくても世の中は気づいてくれるはずだと広報に力を入れない。その結果、誰にも気づかれずに終わってしまう。

また、こんなにすごい技術は誰も真似できないだろうと知財を保護しない。大企業の力をみくびってはいけません。彼らが本気になれば、3年で何でもできると思ったほうがいい。

私はこれまで、世の中の人々にミドリムシについて知っていただくことに一番パワーを使ってきました。もちろんベンチャーが生き残る切り札となる知財も重視しています。お金がない大学発ベンチャーだからこそ、何よりも「広報」と「知財」を大切にしなければいけない。これは私の創業時からの信念です。

《聞き手》
社会情報大学院大学 学長 上野征洋氏

 

出雲 充(いずも・みつる)
ユーグレナ代表取締役社長
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