一人の「欲しい」から始まる 3Dプリンタのものづくり

カスタマイズした製品を3Dプリンタで製作することが可能になった。ものを作ることで、ユーザーの「欲しい」が次々と顕在化していく。IoTで交換価値から使用価値への転換を進めれば、カスタマイズ・ビジネスはより盛んになる。

田中 浩也(慶應義塾大学環境情報学部教授)

私は2007年から、3Dプリンタによる製造の研究を開始しました。そして自宅にも3Dプリンタを設置し、様々なモノを制作してきました。欲しいモノがあれば自分で作ってしまう、つまりモノのパーソナライズの研究を継続してきたと言えるでしょう。2013年頃には3Dプリンタのブームが起こり、世間の注目が一挙に高まりました。

しかし、3Dプリンタを使って、本当にモノのパーソナライゼーションができる、という確実な手ごたえを感じたのは、実は2016年になってからでした。ネット広告の選別や、SNSのつながりのリコメンドなど、情報のパーソナライズは比較的簡単なのですが、モノのパーソナライズは実際に作るというハードルがあります。

2016年より前、3Dプリンタを用いて製造していたのはいわば「試作品」でした。3Dプリンタでプリントに用いていた素材は、最終製品とするには強度が低く、長時間の利用に耐えられなかったのです。最終製品を作るとなると、強度、安全性、生体適合性などの面で、試作品よりも厳しい基準が適用されます。

材料メーカーとの協力で、2016年、十分な強度と様々な分野での使用実績を持ち、皮膚刺激テストなどもクリアした樹脂が3Dプリンタで使えるようになり、プリントした最終製品を使用に供せるようになりました。また、3Dプリンタそのものやスキャン技術の改良などにより、製品の製造にかかる時間も短縮できました。

文字を読み上げる機能を持つOTON GLASSのウェアラブルデバイス
写真:KIOKU Keizo 提供:金沢21世紀美術館

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