「宿坊」を寺町活性化のハブに 民泊新法にも照準

寺社に併設され、僧侶や参拝者が滞在する宿泊施設「宿坊」。大阪市の和空プロジェクトは、今では数少なくなった宿坊を復活させ、かつて地域のコミュニティの核だった寺社の役割を取り戻す挑戦をしている。既存の寺社を民泊に活用するサービスも準備中だ。

熊澤克己 和空プロジェクト代表取締役

寺町に宿坊新設、稼働率は70%超

2017年4月、和空プロジェクトの第1号宿坊として大阪市天王寺区にオープンした「和空 下寺町」。下寺町という地名のとおり周辺は聖徳太子が建立した四天王寺や浄土宗の開祖、法然が住んだといわれる一心寺など、約80の寺社が集まる地域で、その一角の空き地を活用して宿坊が新設された。「通常、宿坊は一つの寺社に併設されているものですが、和空下寺町はこの寺町全体の宿坊として位置づけています」と運営する和空プロジェクト社長の熊澤克己氏は語る。

寺町の風景に溶け込んだ木組みの外観で、全26室ある各部屋には畳敷きに低床ベッドが置かれている。夕食で精進料理を食べた後、食事部屋は体験スペースに早変わりし、写経や写仏、そして翌朝は近隣の愛染堂勝鬘院での護摩祈祷にも参加できる。

現在、稼働率は約70%まで上がっており、個人客の比率が高くなってきているという。「写経や座禅の体験をしてみたかったという女性客、大きな商談の前に心を落ち着かせたかったというビジネスマンなど宿泊される方は多様です。あらためて友人や同僚、子どもを連れて来られる方も多く、寺社を身近に感じていただけているようになっているのでは」と熊澤氏。

第一号宿坊としてオープンした「和空 下寺町」。稼働率は70%を超える

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