シティプロモーションのPDCAを回す NTTドコモの行政支援

観光誘客やシティプロモーションにおいて、「施策の効果検証ができない」「勘と経験でプランニングしている」といった課題を抱える自治体は少なくない。NTTドコモはICTを活用したソリューションで、自治体の課題を解決している。

(左から)NTTドコモ 内山清人氏、柿本英明氏、岩㟢隆司氏、富永泰治氏

データ活用で「勘と経験」から脱却

ICTの利活用による地域課題解決で多くの実績を持つNTTドコモ。同社は2017年度から新たな中期戦略として『beyond宣言』を策定、社会的課題の解決に向けパートナーとの新しい価値の協創を目指すこととしており、特に自治体との協創を重視している。

法人ビジネス戦略部アライアンス推進担当課長の富永泰治氏は、シティプロモーションにおいても企業のマーケティングプロセスと同様に、適切な現状分析とPDCAサイクルの展開が有効だと考えている。「たとえば、『観光客の増加』という課題に取り組むなら、『旅行をしようとしている人に、自分の街を選んでいただく』ことがゴールですが、そのための取り組みを考えるには、『どのエリアから、どんな属性の人が、どのくらいまちを訪れているのか』というデータを取り、現状を分析することが出発点になります」

データから現状を分析し、ターゲット層を明確化する。そしてターゲットに強く訴求する施策を立案・実行し、効果測定・施策の見直しを図る。こうしたPDCAサイクルを回すことで、自治体のプロモーションが強化される。

「PDCAサイクルの各局面では、ICTの活用が重要な役割を担う」と語るのは、第一法人営業部法人サービス第四・第二担当課長の岩㟢隆司氏。

「スマホを通じて大規模なアンケートを実施する。居住者・来訪者に喜ばれるモバイル決済や翻訳のツールを提供する。こうしたICTの活用があってこそ、各局面に至るプロセスを体系化できるようになるのです」

青森県大鰐町の地域交流センター「鰐come」では、町の観光資源をVRで紹介している

PDCAサイクルの各局面で
最適なソリューションを提供

ドコモは《図》のように、PDCAサイクルの各局面に適応したICTソリューションを提供することで、自治体それぞれの課題に応じた観光プロモーション施策を実現している。

歴史的な日本家屋を残す徳島県美馬市では、観光客数が伸びず通過型観光地となっていたことから、『うだつの町並み』の再生プロジェクトを発足。行政、民間、住民が一体となり新たな施策を検討する際、大いに役立ったのが『モバイル空間統計』だった。

「これはドコモの携帯電話ネットワークから推計した人口統計情報を取得でき、指定した日時の滞在者の性別や年齢を把握できます。これによりボリュームゾーンが想定よりも若いファミリー層であることが判明し、現状の課題把握、今後の観光施策の検討に役立ててもらいました」と岩㟢氏。

金刀比羅宮を擁する香川県琴平町では、観光ニーズを調査する際、参道で手書きによるアンケートを実施していた。しかし収集できるサンプル数が少なく、推測に頼らざるを得なかった。

「そこで、ドコモの『プレミアパネル』を活用し、大規模なアンケートを行ったところ、数日間で5千件のサンプルが集まり、人件費や集計時間を大幅に削減できました。また、アンケート内に観光やグルメの情報を盛り込み、琴平町公式サイトのリンクを貼る『対話型プロモーション』を行うことで送客にも役立てました」(岩㟢氏)

石川県加賀市の山代温泉では、旅前・旅中・旅後で継ぎ目のないプロモーションを行っている。旅前ではWeb上でVRを体験できるシステムを活用し、観光資源を訴求。旅中では、イベントに連動した施策として旅館内にVR体験スペースを設置し宿泊客の街中送客を行ったり、スマホアプリで観光資源・イベントのプッシュ型PRを実施。そして旅後には、異なる季節の山代温泉をWeb上のVRで配信し、「また来たい」という気持ちを喚起する施策を検討している。

NTTドコモがPDCAサイクルの各局面で提供するICTソリューション

地域との協創を重視、
定住人口拡大にも貢献

青森県大鰐町では、ドコモのVRサービス『みんなのVR』を活用し、地域交流センターや東京のアンテナショップで、まちの観光名所をVRで類似体験するイベントを実施している。

「通常のVR映像は体験者しか驚きや感動を味わえないのがネックですが、『みんなのVR』ではタブレットやモニターに映像を映すことで、来場者全員が体験を共有できます。青森公立大学がコンテンツの企画・制作を行い、当社がICT面でその実現をお手伝いしました」(法人ビジネス戦略部クラウド推進担当課長の柿本英明氏)。コンテンツはクラウド管理サーバーで管理できるため、遠隔地から編集・更新を行ったり、再生数を集計・閲覧することも可能だ。

ユニークな取り組みは、無料のオンライン学習サービス『gacco』を活用した愛媛県の観光資源PR事業、その名も『えひめ南予通信大学』だ。講義を通じて養殖魚や真珠、みかんなどの観光資源を学ぶことで、ファンの拡大と移住・定住の促進を目指す。講座の制作はいよココロザシ大学が、運営はドコモ及びドコモgaccoが行った。

このように、地域の団体や事業者と積極的に協創することも、ドコモのシティプロモーションの特徴である。「コンテンツ制作などのノウハウを地域に移し、持続的にシティプロモーションが回る仕組みを整えることを重視しています」(富永氏)

今後は観光プロモーションに加え、「働き方改革に関するソリューションを提供し、定住人口の拡大に貢献していきたい」と法人ビジネス戦略部クラウド推進担当課長の内山清人氏。ドコモはクラウドとシェアオフィスをセットにしたテレワーク実現のための働き方改革パッケージを企業に提供しているが、この分野で自治体との協創を深め、子育て世代の移住や企業の本社機能移転を喚起していく方針だ。

自治体の抱える課題は千差万別。NTTドコモは日本全国の通信網をカバーし、全都道府県に担当者を配置している。担当者がそれぞれの自治体と伴走し、個々の事情に合わせたきめ細やかなサポートを行っていく。

 

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