想定の3倍の誘客効果 北陸新幹線が変える石川の未来

2016年3月に策定した長期構想に基づき、「個性、交流、安心のふるさとづくり」を目指す石川県。その鍵となるのは、2015年に金沢開業を果たした北陸新幹線であり、想定を超える開業効果が現れているという。開業の効果と、石川のさらなる活性化に向けた新幹線活用のビジョンについて、谷本正憲知事に聞いた。

谷本 正憲(石川県知事)

ーーー北陸新幹線の金沢開業から約2年、石川県の観光・経済成長にどのような影響がありましたか。

石川県は、日本海側で唯一、戦後一貫して人口が増加してきましたが、2005年の国勢調査を境に減少に転じました。こうした中で石川県の活力を維持していくため、人やモノの交流を盛んにする「交流人口の拡大」が石川のファンを増やし、将来的には県の「移住・定住人口」を増やすことにもつながるとの認識の下、陸・海・空の交流基盤の整備を進めてきました。

「北陸新幹線金沢開業」は、その総仕上げであり、石川県が40年以上前から取り組んできた悲願でした。我々の想定を超える開業効果を目の当たりにし、新幹線という大量輸送機能をもった移動手段が石川県の交流人口の拡大を加速させ、地域経済の活性化を力強く推し進める一翼を担うものだと改めて確信しております。

我々は、九州新幹線の鹿児島ルート全線開通を参考に、北陸新幹線を利用される方が開業前の1.6倍くらいになるだろうと予測していたのですが、実際には3倍にあたる926万人もの方が利用されました。開業から3年目を迎えた現在もこの状況は衰えておらず、観光客・ビジネス客が数多く石川へ足を運んでいただいていることから、私どもが想像していた予測を大きく上回る誘客効果を導いたと実感しています。

JR東日本CM「行きたかった、あの日本へ。」より

ーーー予想以上の誘客効果の要因は、どのようにみておられますか。

開業前は東京から金沢まで約4時間を要していたのが、開業によって約2時間半で結ばれるようになった「時間距離の短縮」が一番です。

もうひとつは、新幹線開業にあわせてメディアで北陸や石川のことが取り上げられたことで、本県の認知度が飛躍的に向上し、石川の魅力が全国の人に届いたのではないかと考えています。中でもJR東日本では、「行きたかった、あの日本へ。」というダイナミックなキャッチコピーで首都圏を中心にPRしてくださいました。

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