「最終選考の学生」を他社につなぐ 人材紹介サービスが始動

最終選考に残った学生が、仮に内定まで至らなかったとしても、「最終の候補者」に評価された実績を活かして、他社の採用試験を受けられる。就活市場の「非効率」を解消する、斬新な人材紹介サービスが福岡で始まっている。

カウテレビジョンでは、多くの若手社員が活躍。両親の誕生日を公休にして親孝行を促す「親孝行ホリデー」など、社内にはユニークな制度も多い

髙橋 康徳(カウテレビジョン 代表取締役社長)

就活で最終選考に残った学生は、仮に内定が決まらなくても、すでに一定の「評価」を得ており、他社にとっても有望な人材の可能性がある。就活市場には「最終選考の候補者」という母集団が存在し、その人数は内定者よりも多い。一方で、地方には人材不足に悩む企業がたくさんある。

現在の就活市場の「非効率」に目を付け、新しい人材紹介サービスを生み出したのが、福岡市中央区にあるカウテレビジョンだ。

カウテレビジョンは、2004年に設立された映像制作会社であり、企業の採用を支援するインターネット動画の制作を手がけている。2017年、新規事業として、2018年3月卒の大学生を対象に、新たな人材紹介サービス『地方創生ファイナリスト企画』に乗り出した。

多くの企業が「採用難」に直面

『地方創生ファイナリスト企画』は、大手企業の採用試験で最終選考に残ったものの内定がもらえなかった学生を、新卒採用を考えている他社へとつなぐサービスだ。

カウテレビジョンの髙橋康徳社長は映像制作で多くの企業と関わっており、そこで採用難が深刻化しているのを感じていた。

「毎年、何千もの不採用通知を送っている企業がある一方で、求人を出しても応募者が集まらない企業もあります。また、学生にとっても就活は苦労が多く、最終選考に残っても、そこで落ちたら別の会社でまた一から評価を積み上げなければなりません」

そうした現状を変えるため、髙橋社長は新たなサービスを立ち上げた。

「最終選考に残った学生を『ファイナリスト』と見なして、他社で得た『評価』を持ったまま、特別選考で就活を始められる仕組みです。企業にとっても、学生に対する他社の評価を参考にできることは、採用の効率化、コスト削減につながります。また、急な内定辞退者が出た際にも、有力な採用手段となります」

カウテレビジョンは、企業専門の映像制作会社。さまざまな業種・業界の経営者、採用担当者、現場の社員などを取材し、その企業の魅力を伝えている

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