未病産業とエネルギー自立を推進

東日本大震災の発災直後の神奈川県知事選挙で、太陽光発電などの再生可能エネルギーの推進や未病政策といった独自の施策を掲げ当選し、現在二期目の黒岩知事。その取り組みが、国内外から注目されている。

黒岩 祐治(神奈川県知事)

――知事は『百歳時代』という本をお書きになるほど、未病への取り組みに力を入れていらっしゃいます。ご著書には、超高齢社会は、国や地域の問題であると同時に、非常に大きなチャンスでもあるというメッセージが込められていると感じました。まず、県政として未病に取り組まれていることについて、知事のお考えをお聞かせください。

黒岩 私にとって、一番大きなテーマは「いのち」です。1989年、当時キャスターをしていたフジテレビのニュース番組「スーパータイム」で、救急車の中に医療がないという問題を提起しました。救命救急医療は時間との勝負なのに、救急隊員の医療処置が認められていないため、助かるはずのいのちが消えてしまう。これは何とかしなければいけないと、2年間キャンペーン報道をして、最終的に救急救命士という制度ができました。これが、私がいのちへの取り組みを始めた原点です。 「いのち」がテーマであることは、今も変わりません。例えば、大規模災害が起きると、ドクターだけががんばっても命は助けられません。神奈川県では、警察・消防・自衛隊・在日米陸海空軍・医療関係者・自治体等が連携して、大規模災害医療救援活動訓練、「ビッグレスキューかながわ」を毎年実施しています。

日本は超高齢社会を迎えようとしていますが、せっかく長生きをするのであれば、寿命の最後の最後まで、健やかで元気に、いのちを輝かせたい。そのための準備は、今から始めておかなければ間に合いません。

病院への依存から自分で健康維持する独立モデルへ

未病とは

未病とは、健康と病気を2つの明確に分けられる概念として捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものと捉え、このすべての変化の過程を表す概念

 

準備のキーワードは「未病」です。健康が真っ白で、病気が真っ赤だとしたら、未病という概念は、白から赤へと、グラデーションで連続的に変化する中で、少しでも白い方へもっていこうと努力することです。つまり、健康な状態を少しでも長く維持できるようにしましょうということです。

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