2016年8月号
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プロジェクトニッポン 奈良県

中川政七商店、吉野杉に見る 伝統産業のイノベーション

月刊事業構想 編集部

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奈良県は老舗の伝統工芸メーカーが多数軒を連ね、一次産業でも吉野杉や大和野菜など歴史ある産品が多い。次代に向けて挑戦を続ける奈良の企業をまとめた。

奈良の老舗である中川政七商店は、SPA業態を確立するなど、革新を続ける伝統工芸品メーカーとして有名

中川政七商店 伝統工芸×SPAで急成長

奈良で享保元年(1716)に創業、今年300周年を迎える中川政七商店は、自前の店舗を持つ伝統工芸品メーカーがほとんどいなかった時代、いち早くSPA(製造小売)業態を確立した、「革新を続ける伝統工芸品メーカー」の代名詞である。

手織りした麻布を晒した「奈良晒」の問屋として誕生した同社は、富士通出身の13代目である中川淳代表取締役の就任後、「ものづくりの思いを正しく伝えるためには、自分たちで直接お客様に届けなくてはならない」と直営店出店を加速。

伝統の素材・技術と現代のデザインを組み合わせた布や織物を展開する「遊 中川」、日本全国の工芸・土産物を販売する「日本市」、社名を冠し機能的で美しい暮らしの道具を取り揃えた「中川政七商店」と、ブランドコンセプトを明確化した直営店を、東京や大阪を中心に全国で展開していった。中川淳氏の就任から、売上高は10倍以上(2015年2月期売上高42億円)に成長しており、2015年にはポーター賞を受賞した。

また、自社ブランドで培ったブランドマネジメント力や、生活雑貨分野の強い販路を活かして、中小伝統工芸品メーカーを対象としたコンサルティング事業にも取り組んでいる。

コンサルティングの代表例が、長崎県波佐見町のマルヒロ。波佐見町は400年以上続く波佐見焼の産地だが、隣接する佐賀県有田市の有田焼の影に隠れ、ブランドがほとんど形成されていなかった。中川淳氏はマルヒロの承継者候補である馬場匡平氏と二人三脚で新ブランドづくりを推進、無骨だが温かみのある「HASAMI」を立ち上げ、第一弾として重ねて保管ができるマグカップ「ブロックマグ」を発表。大ヒットとなり、HASAMIブランドは全国に知られるところとなった。

2011年からはコンサルティング先企業との合同展示会「大日本市」をスタート。全国の伝統工芸品メーカーとの連携を強めている。

同社は2025年までに直営店を90店舗まで増やし、売上高を100億円に増やす目標を掲げている。

吉野杉の復活へのオープンイノベーション

面積の75%を森林が占める奈良県は古くから林業が発達し、戦後、「吉野杉」「吉野檜(ヒノキ)」は住宅用の高級建材ブランドとして広く普及した。しかし、安い輸入木材の台頭、担い手の高齢化と森の荒廃などの影響で、林業は急速に衰退。1980年に60万立方メートルを超えていた木材生産量は2010年には過去最低の14万立方メートルまで減少した。

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