自治体は「運営」から「経営」へ ふるさと納税の功罪

ふるさと納税の制度開始から8年。多額の寄附金を集める自治体がある一方、税収を減らす自治体も出てきた。ふるさと納税に詳しい保田隆明准教授は、明暗を分けるのは「運営から経営への転換」にあると言う。

ふるさと納税をめぐり、さまざまな議論が交わされている。返礼品競争が本来の趣旨に反するという否定的な意見が聞かれる一方、年を追うごとに寄附者数と寄附金額が増加し、地方創生の切り札として期待する声も高まっている。納税者が税金の使われ方に関心を持つようになったという意味でも、これまでの動きは一定の評価を得ていると言えるが、ここでは改めてふるさと納税の意義を考えたい。

そもそもふるさと納税は地方創生の一環として設けられた税制上の仕組みだ。地方で生まれた人は、それぞれの自治体から医療や教育等の住民サービスを受けてきたが、進学や就職を機に都会に移り納税し、地方の自治体は税収を得ることができないという課題があった。生まれ育った「ふるさと」に納税する仕組みとして、ふるさと納税の仕組みがつくられた。

神戸大学大学院 経営学研究科の保田隆明准教授は、ふるさと納税の功罪について「“功”の部分は、自治体に2つの視点を入れ込んだことにある」と言い、次のように説明する。

「1つはマーケティングの視点です。マーケティングの世界では、消費者が商品を購買するまでの行動モデルとして、AIDA(アイダ)の法則が知られています。これを自治体に置き換えると、返礼品は最初の注意を引くAttention。特産品という試食品を通じて町を知ってもらい(Interest)、その町へ訪問したい、特産物を購入したいという意欲を喚起し(Desire)、最終的には商品の購買や観光といったActionにつなげる――自治体がふるさと納税を通じてやっていることはマーケティングそのものです」

「2つ目はイノベーションです。地方の財政難には、すでに地方交付税で対応しているという考え方もありますが、やはりふるさと納税により地方に自助努力で稼ぐことを促した意義は大きい。地域の資産を見直し、それを新たな価値として提供するというイノベーションが各地で実現されています」

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