アジアを結ぶ貿易・交流の架け橋、「万国津梁」再び

アジアを結ぶ貿易・交流の架け橋、「万国津梁」とした栄えた琉球王国。現在の沖縄県は、再びそのポジションに立てる環境が整ってきた。しかし、その実現のためには、解決すべき課題も点在している。

沖縄県はアジアのハブとして、航空・物流・観光などを基軸としたグローバルな発展を志向する

“アジアのハブ”に躍り出る沖縄

15世紀から19世紀にかけて、日本国内が戦乱で荒廃し、あるいは鎖国の眠りに沈んでいるとき、琉球王国は、“アジアのハブ”として、中継貿易に活躍し大いに繁栄した。

しかし、日本の近代化以降、そうした対外的特性は失われたかに見え、特に、1945年、米国の施政権下に置かれて以降は、県土開発が遅れ、1972年の本土復帰後も、その遅れを取り戻すことに注力せざるを得ない状況が続いたことは周知の通りである。

そんな沖縄県に、いま再び、“アジアのハブ”として、「万国津梁」の伝統精神を発揮する時が訪れようとしている。

要因の第一は、アジア市場の爆発的な拡大の中で、アジアと日本の結節点としての地勢的優位性が注目されるようになったこと。第二は、沖縄県自体もまた、日本の国内市場が縮小する中、アジアのダイナミズムを取り込むことで県の創生を図るという道を選ばざるを得なかったことにある。

県と全日空による「沖縄ハブ&スポーク方式」の確立は、その典型であろう。那覇空港に航空貨物ハブを設けることで、各都道府県の産品を同空港で積み替え、その日の内にアジア各地に空輸し、また逆に、アジア各国の産品を同空港経由で日本各地に空輸することが可能になった。

また、アジアの観光需要が急伸する中、LCCや大型クルーズ船市場の世界的拡大も追い風となって、台湾を初めとするアジア諸国から沖縄県へのインバウンドが大幅に増加していることも同県のそうした方向性を後押ししていると言ってよいだろう。

“アジアのハブ”として、航空・物流・観光などを基軸としたグローバルな発展を志向する沖縄県であるが、それを成功裡に進めてゆくためには、同時に、多くの課題を乗り越えていかなければならないこともまた事実である。

飛躍のカギ握る「課題克服」

亜熱帯性の豊かな自然、独自性の高い文化(伝統芸能・儀礼・宗教・習俗・風習・郷土食)、そして、人々の優しさ・温かさで、訪れる人びとを魅了してやまない沖縄県ではあるが、沖縄本島と八重山圏域を除くすべての離島で、今、過疎化が深刻化している。

そのため、離島ならではの歴史・文化・伝統の承継は困難になりつつあり、将来的な消滅可能性すら危惧されている。

その一方、沖縄本島では、経済活動の活発化に伴い、海洋資源など貴重な自然環境が破壊されつつあるほか、電力は化石燃料に依存し、かつ完全な車社会であることから、膨大なCO2排出と猛烈な交通渋滞が大きな問題となっている。同時に、価値観の多様化による独自文化や伝統精神の希薄化も進行しているようだ。

いずれも、同県のアイデンティティを失わせかねない事態であり、課題克服は喫緊の課題である。

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