本田圭佑、ビジネスでも新領域へ オーナーとして「理想」に挑む

都心部にフルコートのピッチを建設し、ユースチームの実質的なオーナーとなる本田圭佑。その背景には、自らが世界に出たことで実感した「あるべき教育」への思いがある。子供たちの「自ら考え、決断する能力」を伸ばすことを目指して、本田の挑戦は続く。

小学生年代からプロまで、各年代のチームを保有し、実質オーナーとして辣腕を振るう本田圭佑。その視線の先には、壮大な計画がある ©ZUMA Press/amanaimages

日本のスポーツビジネスの新たなモデルケースになるかもしれない。

2015年7月末、本田圭佑のマネジメント事務所「ホンダエスティーロ」が千葉県美浜区の幕張新都心にフルコートのピッチを建設し、ユースとジュニアユースのクラブ(ソルティーロFC)を立ち上げることが正式決定した。JR京葉線の海浜幕張駅から近く、アクセスは抜群にいい。

日本の都市部は土地が限られており、多くのサッカークラブにとって市街地にフルコートの練習場を持つのは簡単ではない。本田圭佑プロデュースで小学生を対象に全国約50ヵ所に展開している「ソルティーロファミリアサッカースクール」(万博校のみ中学生のコースがある)も、主にフットサル場を借りて行っている。万博校はソルティーロとして初めてフルコートでの練習が実現したが、あくまで間借りのため、週1回の使用に留まっている。

だが、ついに本田圭佑は自分たちが自由に使えるフルコートのピッチを手に入れた。これによってホンダエスティーロとして初のユースチームが実現した。

本田圭佑の知名度があるとはいえ、なぜ彼らは自前のピッチを手にいれることができたのだろうか。その背景には、千葉県企業庁による都市開発プロジェクトがある。

サッカーで街ににぎわいを

今回サッカーピッチがつくられる「若葉住宅地区」は、県が進める新都心計画の最後の大規模住宅地区だった。それだけに県はただの住宅ではなく、地域を活性化する街づくりを求めた。コンペティションを実施し、その応募条件として、約17.6ヘクタールの用地(東京ドーム3.8個分)を一括で引き受けられる業者に限定した。

そこに手を挙げたのが、三井不動産レジデンシャルだった。

「周辺の教育機関と連携し、国際性を育むコンテンツを導入するとともに、多世代が街の中で心地よく過ごすことができる環境を創出し、千葉県のベイエリアの振興と幕張新都心の街づくりの更なる進化を目指す」

そんなコンセプトを掲げ、埋め立ての歴史などを展示する「幕張ミュージアム」、予防医療に力を入れる「すこやかステーション」が案に盛り込まれた。そして街のにぎわいの目玉として加わることになったのが、ホンダエスティーロによるサッカーチームだった。

2014年6月、三井不動産レジデンシャルは音楽アーティスト団体のMIFAと共同で、東京都江東区の新豊洲駅前に「MIFAフットボールパーク」をオープンさせた。ソルティーロもそこに新校を開き、三井不動産レジデンシャルと縁ができたのだった。

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