スマホでイノシシ狩り 鳥獣被害解消を「ジビエの産業化」に

鳥獣被害が多発する愛媛で、「ジビエの産業化」に取り組む四国ジビエ。スマートフォンをつかった鳥獣捕獲システムを開発するなど、鳥獣を地域資源と捉えて、様々なアイデアを具現化している。

愛媛の鳥獣害被害額は年間3億8000万円、半分以上はイノシシ害だ

ジビエ利用は6次産業化そのもの

愛媛県で野生鳥獣による農作物被害が深刻化している。被害額は年間3億8000万円と推計され、その半分以上はイノシシであり、近年はシカ被害も急増。特に過疎地や離島では、鳥獣害対策は住民にとって大きな負担となっている。

そんな愛媛県で、「ジビエの産業化」を掲げて今年1月に設立された新会社が、四国ジビエだ。スマートフォンを使った鳥獣捕獲システムや獣肉処理施設の運営支援、ジビエ料理の開発支援など、すでに幅広い活動で成果をあげている。

「鳥獣被害と対策費の増大に歯止めがかからない状況下で、いかに効率的に鳥獣を処理するかばかり考えられ、食材利用という視点が大きく抜け落ちています。ジビエ産業はまぎれもなく6次産業そのものです。捕獲から解体加工、流通、商品化、さらには観光までを一本の線で繋いで、持続的なビジネスモデルをつくらなければいけません」と、四国ジビエ代表取締役の奥山忠政氏は話す。

奥山 忠政 四国ジビエ 代表取締役、四国ジビエ連携 代表理事

奥山氏は総合商社、ホテル総支配人、大学講師などを経て2010年に松山市に移住。同年、四国でB級グルメを活用したまちおこしを目指す「四国B級ご当地グルメ連携協議会」の設立に関わったことが、鳥獣被害とジビエに注目するきっかけとなった。

「協議会でジビエがご当地グルメ食材となりうると議論が白熱し、勉強会や研修会を重ね、2013年には観光事業者や食肉加工業、料理人らが参加して四国ジビエ連携が設立されました。愛媛県の委託を受けてジビエ産業人材育成の講座を行い、これまで延べ250人が受講しています。さらに事業スピードを高めようと、今年1月に株式会社を設立しました」

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