日光の「新しい楽しみ方」を創出 体験型観光で経済効果を最大化
多くの観光客が訪れる、紅葉シーズンの日光。しかし、自然の風景を楽しんでもらうだけでは、地域への経済効果は限られる。商機を広げるために、体験型観光のコンテンツづくりが進んでいる。
栃木県日光市は、世界遺産に登録されている日光東照宮をはじめとした一連の建造物、遺跡を指す「日光の社寺」で有名である。さらに京都の嵐山、青森の奥入瀬渓谷と並ぶ日本の三大紅葉地としても知られ、シーズン中の1ヵ月間で約90万人もの観光客が訪れる。
日光では、この観光客の多い景勝地という強みを活かし、通り一遍の観光にとどまらず、さらなる満足度と消費を生み出す体験型観光のチャレンジが行われている。
紅葉の湖を“独り占め”
「紅葉シーズンの日光は、車を前に走らせることもできないほど混雑します。せっかくの美しい紅葉を、ドライブだけではなく別の角度からじっくり見ていただくことで、お客様の満足度も上がるのではないかと考えました」
こう話すのは、中禅寺湖でカヌーツアーを開催する「Bluebird Canoe(ブルーバードカヌー)」代表の桑野智和氏だ。群馬と栃木の県境に店舗を構え、3年前からは中禅寺湖でもカヌーツアーを始めた。普段は群馬の菅沼で活動しているが、栃木の紅葉の美しさと観光客の多さに注目し、紅葉の時期に限定して中禅寺湖でカヌーツアーを行っている。
「湖に落ちてくる紅葉の中に溶け込むように、カヌーで漕ぎ入る感動は、他ではなかなか味わえません。遠くの山々に色付く紅葉、湖畔の紅葉が湖面に映る様子など、近景・遠景さまざまな角度から紅葉を楽しむことができます」
中禅寺湖は自然湖としては日本で最も標高の高い場所に位置し、気温も低いため、バクテリアの繁殖が極端に少ない。そのため国内屈指の透明度を誇り、また水の匂いがカヌーツアーを邪魔することもない。
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