2015年10月号
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地方創生の発・着・想

石破地方創生担当大臣、平内閣府副大臣が語る「地方創生の真髄」

石破茂(国務大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当、衆議院議員)

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8月4日、事業構想大学院大学と地域活性学会は「地方創生特別セミナー」を開催した。石破茂国務大臣(地方創生・国家戦略特別区域担当)と平将明内閣府副大臣を招き、地方創生のこれからを議論。約300人の自治体・大学・企業関係者らが参加した。

第一部
石破茂大臣講演

石破茂 国務大臣 地方創生・国家戦略特別区域担当、衆議院議員

東京一極集中と地方の人口減少が加速している現状を、私は「静かなる有事」だと認識しています。現在、約1億2700万人を擁する我が国の人口は、このまま何もしなければ2100年に約5,200万人、2500年に約44万人にまで減るという推計があります。これまでの地方活性化政策と今回の地方創生との違いは、この政策が失敗すると国の将来はない、という強い危機感を抱きながら取り組んでいることにあるのです。

国家は「領土・国民・統治機構」という3つの要素で成り立っています。いくら領土を守っても、国民がいなくなったら、それはもう国家ではありません。

地方と共に東京も消滅へ向かう

「新書大賞2015」を受賞した『地方消滅』(増田寛也編著)が日本中を震撼させたのは、若年女性(20~39歳)人口の予測から導き出された次のデータにあります。それは2040年までに、若年女性が50%以上減少する自治体数が、全体の約半数に及ぶという予測です。このままではこれらの自治体が存続できるとは思えません。

東京圏と地方はそれぞれどのような構造的な課題を抱えているのか。これから東京圏では、かつて経験したことのない規模とスピードで高齢化が進むはずです。1955年から1970年までの間に地方から東京圏に移住した約500万人が高齢者となり、2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者となります。このままでは医療・介護人材が不足することは間違いありません。一方、地方では高齢者の絶対数が減り、医療・介護人材に余剰が生じはじめています。その結果、再び、地方から出生率の低い東京への大きな人口移動が起こるでしょう。今、何もしなければ、地方が消滅に向かい、そして15年ほどの時間差で、東京も消滅に向かうのです。

「東京が栄えていればそれでよい」という人もいますが、東京は「消費する都市」。食料もエネルギーも生み出せません。再生産できる地方が消えて、再生産できない東京だけが残って、国家としてどうなるというのでしょう。

地方に眠る「成長産業」

1960年代から1970年代にかけて、地方で人口が増えた時期がありました。その要因は公共事業と企業誘致です。日本中のインフラが整備され、家電や自動車の工場ができたことで、地方に多くの雇用と所得がもたらされたのです。しかし、これからの時代、同じことは起こりません。

では、どうすれば地方創生を実現できるのでしょうか。私は、地域に根づき、かつ改善の余地が大きい農業、林業、漁業、そして観光産業をはじめとしたサービス産業をいかに育てるかだと考えています。

日本ほど自然に恵まれ、適度に光が降り注ぎ、気候が温暖で、農業に適している国はありません。この国は国土の7割が森林であり、一年で成長する木材の量だけで、国内の木材需要は十分にまかなえます。規制緩和によって、今後、欧米を中心に活用されている木造建築のCLT工法が普及すれば、日本にも木造の高層ホテルやオフィスビルが立ち並ぶようになるでしょう。

デービッド・アトキンソン氏は著書の『新・観光立国論』で、観光の要素は4つ、「気候」「自然」「文化」「食事」であると述べています。日本はその要素をすべて満たしているのに、観光GDP比率で主な諸外国に大きく水を開けられている現状に鑑みれば、伸びしろは十分にあるのではないでしょうか。

2015年度末までに、全自治体に「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」を策定していただきます。策定のポイントは、産学官に加えて金(金融機関)、労(労働界)、言(地方メディア)が連携して戦略を議論すること、そして出生率や農業生産額などの何らかのKPI(重要業績評価指標)を設定し、PDCAを回していくことです。

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