星野リゾート、チームラボの代表らが語る「2020年の観光」とは
2020年の観光とは--。 本誌5月号では、今年3月にパナソニックが博多駅で実施したイベント「WONDER JAPAN TRIP」を取り上げた。実はその裏には、同社が仕掛けたもう一つの企画があった。BSフジの制作で4月17日に放映された、番組内容の一部を紹介する。
列車による旅の最高峰クルーズトレイン「ななつ星in九州」
「ななつ星in九州」は、総工費30億円、定員28名。1泊2日コース21万円~、2泊3日コース48万円~という価格ながら、2015年春の申し込みは最高応募倍率が171倍。JR九州という一企業の枠を超え、沿線住民、さらには九州全域に富と活気をもたらした、地域活性の空前の成功事例だ。
3月3日、JR博多駅。「本日はワンダージャパントリップへようこそ」。いまや国民的人気キャラクターとなった「くまモン」の生みの親であり、これまでに斬新な企画を数多く世に出してきた小山薫堂氏の呼びかけで、「会議のための旅」がスタート。
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、各界のトップランナーが観光の未来を考える。舞台となるのは、JR九州が世界に誇る豪華列車、クルーズトレイン「ななつ星in九州」だ。
小山氏と時間をともにするのは、キャスターの八木亜希子氏、星野リゾートの星野佳路氏、ユニバーサルデザイン総合研究所の赤池学氏、音楽プロデューサーの松任谷正隆氏、チームラボの猪子寿之氏だ。総勢6人が、旅をしながら観光をテーマにさまざまな議論を展開する、社内会議ならぬ「車内会議」なのだ。
「こんなにチャーミングな仕事はここ最近なかったな」(赤池氏)、「今ちょっとテンションがマックスになっています」(八木氏)と、旅人たちは早くも興奮気味。もちろん、単に旅を楽しむだけではない。「宿題を一生懸命考えてきて、それだけでもう頭がいっぱい」(星野氏)。そう、宿題とは、事前に小山氏が旅人に課した「2020年に向けてやってみたい観光のアイデア」というものだ。
6人の旅人を乗せた「ななつ星in九州」は、駅員や多くの鉄道ファンに見送られながら、定刻の11時18分に博多駅を出発した。湯布院を経て宮崎へと至る1泊2日の旅である。
問われる「おもてなし」のあり方
最初のテーマとなったのは、「日本の観光の現状・問題点」。訪日外国人の数は過去3年で順調な伸びを見せている。だが、「アジアの中での順位は伸びていない。伸び率という点では他の国に負けている」(星野氏)。シェア争いでは他国に遅れを取っているのが現状だ。
実際に外国人観光客からは、「フリーパスが充実していない」、「無料で使えるWi-Fiサービスが整備されていない」、「飲食施設などで外国語の情報が不足している」などの声があがっている。外国人に日本を楽しんでもらうための準備が、十分に整っていないのだ。
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