2015年9月号
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プロジェクトニッポン 鳥取県

「小さな県」の大きな存在感 歴史的独自性に期待

嶋田 淑之 (自由が丘産能短大 教員 文筆家)

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県土面積で全国41位、人口は全国47位という「小さな県」である鳥取県。しかし同県には、厳しい環境にありながらも、数々の逆境の乗り越え、ブレイクスルーを成し遂げてきた歴史的な「強み」がある。

鳥取県は伝統的に農業に強く、二十世紀梨やスイカなど、全国トップクラスの生産量を誇る品目も多い

「スタバはないけど日本一のスナバ(砂丘)はある」

スターバックスコーヒーが出店しない日本唯一の県ということで、2013年、鳥取県知事が発した言葉であり、大きな話題になった。そして、2015年春、ついに出店することが決まるや、「スタバが来るなら勝手にすなば(すれば)」と発言。

さらに、日本最大のブログサービス「アメーバブログ」も、全国2000万人の会員向けに「スタバとすなばとどっちが好き?」という「お題」(ブログネタ)を出すなど、盛り上がりは最高潮に達した。

この一件だけではない。長年、鳥取県と聞くと、反射的に「砂丘」、「二十世紀梨」、「水木しげる」が口をついて出てくる人が多いなど、鳥取県は、明らかに他の都道府県とは異質な、独特の存在感を放っている。県土面積は全国41位、人口は57万3000人で47位という、“小さな県の大きな存在感”――それが鳥取県である。

逆境の中で見せる“県民一丸”

4市(鳥取・倉吉・米子・境港)、14町1村からなる同県は、1人当たり県民所得44位、1人当たり県内総生産43位(共に2011年)という厳しい状況に置かれている。

人口動態的にも、1985年をピークに減少へ転じ、20年後に50万人未満になる見通しだ。

また、後期高齢者比率が全国7位という高位にあり、75歳以上人口の占める比率は、今後20年間、さらに増加し続ける。三世代同居率も低下しつつあり、高齢者世帯に占める「単身世帯(→孤独死リスク)」と、「高齢者夫婦世帯(→老々介護の共倒れリスク)」の比率が、10年前に約6割に達し、向こう20年間、その比率は上昇が続く。

県の努力により(保育園数2010年全国3位など)、合計特殊出生率は上昇傾向にあるものの、社会減が拡大しているため、結果的に、20~39歳の層が著しく薄く、県の活力を弱めている。

こうした厳しい環境を背景に、鳥取県では、女性就業率が高く(6位、2010年)、また、社会的弱者をも含めた結束力の強さから、「ノーマライゼーション」が日本で最も発達した地域の一つに数えられ、ボランティア参加率でも全国1位となっている。

歴史的に、「因幡の白兎」をはじめ逸話・昔話が数多く語り継がれ、また、信仰心が古来根強いことも、そうした県民意識に影響を及ぼしていると言われる。

農・水産・観光業に独自の強さ

産業構造に関しては、1次産業就業者比率が全国9位、2次産業33位、3次産業25位(いずれも2010年)で、典型的な「1次産業県」である。

特に、農業就労者数で4位につけるなど、伝統的に農業に強く、二十世紀梨の生産量1位を筆頭に、スイカ・ラッキョウ・芝が2位など多くの品目が上位に並ぶ。

水産業でも、名産の松葉ガニをはじめとするカニ、天然ぶりが1位、鯵2位、イカ4位など、上位品目が並んでいる。

しかし、その一方で、2次産業に関しては、製造品出荷額が45位(2012年)と低迷。特に重工業分野は弱く、他の都道府県の企業の工場や下請け中小企業が中心で、県として「下請け構造からの脱却」を重要課題に掲げている。

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