新しい「祈りのかたち」を発信 仏壇・仏具メーカーの伝統と革新

会津若松の地場産業の一つが、仏壇・仏具業。同地域に本拠を置く保志は、100年以上続く仏壇・仏具の老舗でありながら、新たな事業を創出し続け、時代が求める「祈りのかたち」を提案する。

現代の暮らしに合う祈りを提案するショップ「アルテマイスター保志」。さまざまなクリエイターによる作品、プロダクトと出会える場となっている

「祈りのかたちは人それぞれ。私たちはそれに寄り添っていきます」

こう話すのは、保志の社長・保志康徳氏だ。

保志は、会津若松市で1900年に仏壇・仏具業として創業。保志社長の祖父にあたる保志潔之氏は小売りにとどまらず、会津塗りを活かした仏壇製造を始め、卸売も手掛けるようになった。

現在は保志社長の下、「アルテマイスター」のブランドで、さらに事業を拡大。ライフスタイルの変化に合わせて、今までにないデザインや色合いの仏壇・仏具を提案し、新しい祈りのかたちを創出している。

家業に反発していた少年時代

幼い頃の保志社長は、友人からの「他人の不幸で飯を食っている」という一言がショックで、家業に対して後ろめたさを感じていた。

そして保志社長は中学時代、祖父・潔之氏に対し、意を決して「俺は絶対に会社は継がない」と伝えた。怒られることを覚悟していたが、祖父は笑ってこう返した。

「確かに、うちは亡くなった方を弔う商売だ。だけど、仏壇・仏具を買いに来る人の気持ちを考えたことがあるか? 親を亡くした、子供を亡くした、とみんな悲しい気持ちで来る。しかし、仏壇に手を合わせるとその悲しさが和らぐ。こんな尊い商売はないぞ」

保志社長は当時、「尊い商売」の意味がわからなかったが、輝くような顔で語りかけた祖父の姿を今でも鮮明に覚えているという。

保志康徳 保志 代表取締役社長

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