売り切れ続出 宮崎キャビア誕生までの「苦節30年」

宮崎県の新しい水産加工品として注目を集める「宮崎キャビア」。研究開始から30年と、長い年月を掛けて販売にまで漕ぎ着けた。日本一のキャビア産地という大きな夢は、現実になりつつある。

ねっとりとした粘りと高級感のあるツヤを出すために独自の製法を確立した

発売以来、売り切れ続出

世界三大珍味といえば、トリュフ・フォアグラ・キャビアの3つが挙げられる。どれもが高級食材として認知されているが、チョウザメの卵を原料とするキャビアは、乱獲と漁獲高激減による価格高騰が世界的な話題となっている。

そのような状況の中、2013年に宮崎産のキャビアが国内市場にお目見えした。発売以来、入手困難な状況が続くなど高い人気を博している。

宮崎にチョウザメが入ってきたのは、販売開始から30年以上前の1983年にまで遡る。旧ソ連より日ソ漁業間親善の証としてチョウザメが贈られることとなった際、研究着手に名乗りを上げたのが宮崎県の水産試験場だった。そこから完全養殖を実現させるべく研究が開始された。

「当初はチョウザメの親魚から採卵できない、採卵が成功し稚魚が生まれてもすぐに死んでしまうなど、養殖実現は困難を極めたようです」と宮崎キャビア事業協同組合事務局長の坂元基雄氏は話す。

坂元基雄 宮崎キャビア事業協同組合 事務局長

「完全養殖でシロチョウザメ稚魚が誕生したのは、研究開始から21年後となる2004年のこと。これは全国初となる快挙でした。水産試験場は、その稚魚を元にして養殖を始めてみてほしいと民間業者に声を掛けたそうですが、海の物とも山の物ともつかない状況でしたので、最初は集まらずに苦労されたそうです」

それでも徐々に興味を持つ業者が増え始め、2007年には7業者までに広がっていく。養殖技術を高める目的で、業者による任意団体「宮崎チョウザメ普及促進協議会」も生まれ、宮崎産キャビア誕生への気運が高まりを見せていった。

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