「維新のくに」が目指す「6つの日本一」

近代日本を築いた偉人を数多く輩出し、幕末維新の発祥の地となった山口県。村岡知事は、そうした歴史や文化の強みを活かして、観光力の強化に取り組むとともに、次世代産業の育成にも力を入れるなど、6つの分野で「日本一」の実現を目指す。

村岡嗣政(山口県知事)

--山口県の地域資源の潜在力や可能性について、どう見ていますか。

山口県には、すばらしい資源があります。三方が海に開かれ、内陸部にも山や川など豊かな自然があり、新鮮な農産物や海産物がとれて、おいしい日本酒もあります。温泉もたくさんあって、秋吉台をはじめとした景観も魅力的で観光資源に恵まれています。

歴史についても、今NHKで吉田松陰の妹を主人公にした大河ドラマ『花燃ゆ』が放送されていますが、山口県は明治維新や源平合戦など、さまざまな歴史の舞台になった場所です。県としても、こうした観光資源や歴史の魅力をしっかりとアピールしていきたいと考えています。

さらに産業面で言えば、山口県には日本有数の産業集積があります。産業インフラとして、5つの新幹線の駅、2つの空港、国際バルク戦略港湾に選定された港など、物流・交通基盤が充実しています。また、工業用水の給水能力は日本一で、水の品質が高く、その処理にあまりお金がかからないので、料金は全国平均の半分くらいの水準です。加えて、地震が非常に少ないというメリットもあります。

実際、こうした強みが認められ、近年の企業進出は増えています。

 

山口県の次世代産業クラスター構成

「水素先進県」の強みを発揮

--今後の成長産業の育成をどう進めていきますか。

人口減少を食い止め、人や仕事を外の地域から呼び込むことを目指し、2015年度の予算では、「6つの日本一」を掲げて、重点的に予算を配分しました。「6つの日本一」とは、「結婚から子育て支援日本一」、「産業力強化・創業支援日本一」、「農林水産業担い手支援日本一」、「移住・定着日本一」、「首都圏等情報発信・売込強化日本一」、「地域教育力日本一」です。

産業施策について、山口県は第2次産業の比率が高く、コンビナートに代表される化学など基礎素材型の産業や自動車関連の製造業が集積しています。そうした強みを活かして、「産業力強化・創業支援日本一」を目指し、企業間や産学官の連携を進め、成長産業の創出を進めていきます。

特に医療関連産業、環境・エネルギー産業については、国のイノベーション推進地域指定を受けています。医療、環境・エネルギーで産業クラスターの形成を図ることを目指し、昨年には、山口県産業技術センター内に「イノベーション推進センター」を設置しました。企業・大学が持っている技術を集積し、研究開発を支援するための補助金も設けています。これは期間、金額ともに全国トップレベルの支援制度になっています。

また、山口県は国内でトップクラスの高純度の水素をつくることができ、実は日本でつくられる水素の1割が山口製です。「水素先進県」として、水素を利活用する製品の事業化を支援するとともに、水素の需要創出を図るため、燃料電池自動車の購入費の助成制度を創設します。

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