1足の靴で感動を生み出す会社 「業界の常識」打破で突破口

香川から全国の高齢者に介護シューズを届け、同分野でトップシェアを誇る徳武産業。同社は日本で一番、「ありがとう」の声が届く靴メーカーだ。1足の靴に思いを込め、ユーザーからは年間1000通以上のお礼状が届く。

高齢者向けの介護シューズ部門で50%近いシェアを誇る徳武産業。その本社は、香川県さぬき市の幹線道路を逸れた田園風景の中にある。ここには、ユーザーから毎年1000通以上のお礼状が届く。1足の靴から感動が生まれる不思議。2013年には、その手紙の一部を集めて冊子を制作した。

「私たちがつくっているのは、高齢者の歩みを支えるパートナーです」と言い切るのは、十河孝男社長。徳武産業は、日本で一番「ありがとう」の言葉をもらえる企業を目指している。

十河孝男(徳武産業 代表取締役社長)

見放されていた「高齢者の靴」

徳武産業は、1957年に手袋製造工場としてスタートした。1984年に先代の社長が急死。娘婿である十河社長が慌ただしく2代目に就任した。その後は、大手企業のOEM生産を柱に安定した経営を続けていた。

転機が訪れたのが1993年頃。OEM生産が海外工場に移り始めたのだ。売上げのほとんどがOEM生産であった徳武産業は、生き残りに全力を傾け、新商品を開発して提案型OEM企業として生まれ変わった。とはいえ、取引先の状況によって発注量が変わる体質はそのまま。その不安定さから「将来への展望が見えなかった」という。

そうした頃に、老人福祉施設に勤める友人から「施設の老人が、よく転んでケガをする。転びにくい履き物をつくれないか」という相談が持ち込まれた。簡単だろうと引き受けたが、これが難しい。はれ・むくみや、外反母趾、リウマチなど、高齢者の足の状態は人それぞれ違うからだ。

結局、2年間500人の高齢者から聞き取りを行い、必要とされるシューズの姿を模索した。同時に、高齢者の靴は業界に見放されていることに気づき、「我が社の進むべき道はここだ」と確信する。使命感に燃えて開発に取り組み、1995年、ついに高齢者用の介護シューズ「あゆみ」が完成した。

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