足下の価値を発見 一隅を照らす、市民とともに

市役所職員時代に、まち歩き観光キャンペーン「長崎さるく博」を自ら立案した田上市長。「当事者が多いまちは元気な町。長崎市を当事者がたくさんいるまちにしたい」と語り、市民が自分たちの力で、自分たちのまちをつくることを後押しする施策に力を注ぐ。

山に囲まれ、細長い入江になっている長崎の港。船上から数々の観光資源を堪能できる地形になっている

―長崎市の地域資源について、どう捉えていますか。

都市経営において一番大事なのは、個性を強みにすることです。長崎市にはたくさんの個性があります。長崎市は日本で一番西に位置し、東京からは遠い。しかし今一番発展しているアジアに一番近い窓口とも言え、この距離が強みになります。

長崎市は深い入江の先にあり、多くの国際船の船長さんに聞くと、「お世辞でなく、この港は素晴らしい」と言います。船から降りるとすぐに観光地があるのは、世界でも珍しいそうです。ターミナルや女神大橋も非常に素晴らしいと評価されています。

田上 富久 長崎市長

また、坂道が多いことは、暮らすうえで不便なこともありますが、それが世界新三大夜景につながっています。一見、不利なことでも価値があるのです。

長崎市には、住んでいる人たちが気付いていない資源が、本当にたくさんあります。世界遺産登録が目前となっている、明治日本の産業革命遺産の構成資産である端島炭坑(軍艦島)も、以前は観光名所ではありませんでした。今は人を一番集める場所になっていて、それも長崎市の奥深さです。

博覧会を見るようにまちを歩く「さるく博」の発想も、市民のみなさんが長崎市の価値を知るところから始まりました。

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