2014年12月号
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地方創生 2つの輪

芸術のまちおこし 成功の条件は地域住民の参画

月刊事業構想 編集部

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演劇や音楽など芸術を活用したまちおこしは全国的に見られるが、一過性のイベントで終わってしまうことも多い。継続性を持たせるためには、人材育成を含めた戦略が必要だ。

秋田県の「劇団わらび座」は、観光施設「たざわこ芸術村」を運営。

芸術と地域資源の相乗効果

秋田県仙北市(旧田沢湖町)に年間約25万人が訪れる「たざわ湖芸術村」がある。

運営主体の劇団わらび座は、創設以来60余年の歴史を持つ地域劇団で、国内外で年間1200公演を行い、日本では劇団四季、宝塚劇団に継ぐ規模だ。

「たざわ湖芸術村」は、1983年からわらび座の代表取締役を務める小島克昭氏のもと、96年にオープン。地方劇団が観光施設をつくるという前代未聞の取り組みである。

温泉や地ビールづくりなどの地域資源を活用する

敷地内には「わらび劇場」をはじめ、温泉宿「温泉ゆぽぽ」、オリジナル地ビール「田沢湖ビール」、伝統芸能の研究施設「デジタルアートファクトリー」などが併設する。わらび座の創設者、原太郎氏の“秋田の農村部に根を下ろし、民謡を元にした新しい舞台芸術を創造する”という理念を継承し、秋田の地域資源に徹底的にこだわった。

小島代表は「まちおこしには、地域資源を最大限に生かしていくことを堅持しつつ、手法・方法論については絶えざる革新が必要」と話す。地域を愛し、地域に深く根差した劇団が主体となった取り組みが、山間部の小都市に年間25万人もの人々を集客している。

行政主導で文化水準を高める

国内外から150万人以上を集める静岡市の「大道芸ワールドカップin静岡」は、社会起業家養成スクールを設立し地域人材を育てている

行政が積極的に介入し、文化振興を実現させた例として、静岡県舞台芸術センター(SPAC)がある。SPACは、専用の劇団と劇場を持つ日本初の公立文化事業団。1995年の設立以来、世界レベルの舞台芸術を静岡から発信し続けている。

公立劇場は県民誰もが公平に使えるべきという概念の中で、SPACのみが使用する専用劇場を建設することには大きな議論が持ち上がった。しかし、県は、専用劇団、専属使用を否定しては、劇場は単なる貸しホールの域を出られず、劇団固有の創作活動は難しいと考え、条例で専用使用を明文化した。世界的な評価を受けている劇団が静岡県内に住みながら舞台を作ることが、幅広い分野の創造活動に影響を与え、県内の文化水準を引き上げている。

文化振興は時間のかかる事業だ。全国にさきがけ、世界的レベルの芸術を生み出す集団を育ててきたことが、静岡県の大きな宝となり、文化・芸術のまちとして、対外的な印象を与えることに成功している。

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