水力発電でつくる「自らの暮らし」

行政や企業ではなく住民主体で、農山村地域に水力発電施設を設置。それは、エネルギーの地産地消だけでなく、特産品の開発やカフェのオープン、県外からの移住にもつながり、地域全体の活性化につながっている。

石徹白では、地元住民と移住者が一体となって、自然エネルギーによる地域の自立が目指されている

郡上市北西部に位置する石徹白(いとしろ)は、福井県との県境にある100世帯の小さな集落である。隣の集落まで12kmほどあり、途中950mの峠を越えなければならない。NPO法人地域再生機構副理事長の平野彰秀氏は、この土地に家族で移住し、水力発電によるまちづくりに取り組んでいる。

外貨の獲得より流出阻止

平野氏は、大学で都市計画などについて学ぶ傍ら、全国各地のまちづくりのプロジェクトに参加した。その中で、「専門家としていろいろな地域を渡り歩いてまちづくりのきっかけをつくる“風の人”ではなく、じっくり腰を据えて自分の地域として、その地域のまちづくりを続けていく“土の人”になりたい」と強く思ったという。

平野彰秀 NPO法人地域再生機構 副理事長

大学卒業後は東京で仕事をして経験を積んだ。商業施設のプロデュース会社では、商業施設の建設・設計を通したまちづくりを、経営コンサルタント会社では経営知識を身につけた。同時に岐阜に通ってNPOの活動に参加し、まちづくりや自然環境についての研究を行った。そうした中で注目したのが、農山村の自活経済についてだった。

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