知らざる者は勝たず

特許、商標、意匠は、企業の大小を問わず公平に与えられた最強の武器である。ならば、経営者は武器の威力は勿論、使い時や扱いを熟知しておかなければならない。

10.知財の活用

10.1 特許による攻撃防御

 

特許などの知財の取得に要した費用が資産勘定科目に仕訳られることからも明らかなように、特許などの知財は投資そのものだ。ならば、取得した特許はそれを有効に使ってお金にすることにこそ意味がある。

 

見本市に行って自社特許を侵害する展示品に気付いて驚いたというような話しを、筆者はよく耳にする。黙認しては舐められる。特許権者に認められた可能な手段を用いて侵害行為を止めることだ。まずは相手と接触する。通常、警告書を送ることで始める。取引上の相手ということもあって、警告状は余りに刺激的だというのであれば、通知書という形でもかまわない。

 

法的効果に差異はない。いづれの場合も相手と接触する以上、特許権者側としての事前の決意なり覚悟が必要だ。戦うということ、訴訟するということだ。もし初めから争う気がなく、和解したいというのならば、親しい営業担当同士が、軽く電話で相手の反応を見ることから途を探るのもいい。

 

弁護士や弁理士という専門家を立てるのは相手を威圧することにもなり、むしろ争うことになりかねないから。警告書を送ると、相手が無視して返答しない場合や返答期日を故意に引き延ばしたり、無意味な返答がくり返されたりする場合があるので、通告は一度、多くても2度まで。その後は予定通りにさっさと提訴する。提訴の目的も事前に決めておく。

 

損害賠償を得るのが目的か、相手のビジネスの息の根を止めるのが目的かだ。損害が発生していなければ、ビジネスを止めるだけということだ。そこまでは不要ということなら、提訴する意味はない。初めから無用な喧嘩はしないことだ。

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