2014年5月号
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強い"企業理念"

良い理念、悪い理念の分岐点

嶋田淑之(自由が丘産能短大・教員、文筆家)

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理念にも、「良い理念」と「悪い理念」とが存在する。理念を浸透させるには、それが「良い理念」であることが大前提となる。そして、浸透に成功した企業を分析すると、いくつかのパターンが見えてくる。

経営者の悩みの一つに「理念が浸透しない」という問題がある。

それにしても、なぜ、浸透しないのだろうか? そして、どうすれば浸透するのか?

そこで、今回、「企業における理念とは何か?」、「良い理念と悪い理念」、「成功企業に学ぶ“理念を浸透させる方法”」、「理念浸透の陥穽」という4つの視点から、この問題について検討してみたい。

企業における理念とは何か?

企業において、理念とは、自社が向かうべき方向とそこで実現すべき価値を、“定性的に”表現したものである(図1の上側参照)。

すなわち、どんなに環境変化が速く、その振幅が大きく「一寸先は闇」と思われるような厳しい経営環境の中にあっても、進むべき方向を躊躇なく明示してくれる「方位磁石」、「羅針盤」である。

そして、同時に、顧客・従業員・取引先・地域社会などステークホルダー各層に対し、自社としてどのような価値を創出するかを表明する“公約”でもある。

理念の主要な構成要素としては、企業によって呼称が多少異なるものの「家訓・創業訓」、「経営理念」、「長期ビジョン」、「行動指針(=期待される社員像)」などが挙げられる(図1の右側参照)。

「家訓・創業訓」は、老舗企業などにおいて、代々、「不変の対象」として受け継がれてきた経営哲学であり、あらゆる理念群の“原点”となる。

それに対して「経営理念」は、歴史の深浅を問わず、あらゆる企業において、経営トップが事業を構想し、実現していくに際してはもちろんのこと、全社員が業務を遂行するに当たっての拠り所として位置づけられる。内容的には、“戦略の在り方”、“経営システムや業務プロセスの在り方”、“組織の在り方”という3つが主体となる。

これを将来の時空間へと投影したものが「長期ビジョン」である。これは、「経営理念」の中で表明されている進むべき方向や実現すべき価値について、「自社として、それを×年後に具体的にこんな姿で実現していよう」いう意思の表明であり、個人の「自己実現」になぞらえて「自社実現」像と称してよいだろう。

これは、時間を遡って、「中期3ヵ年計画」などにブレイクダウンされ、さらに「単年度計画」へと落とし込まれてゆく。

「行動指針(=期待される社員像)」は、理念を個々の社員の行動レベルに落とし込んだものである。

「良い理念」と「悪い理念」

「良い経営戦略の条件」として、しばしば「4C」(=contents、context、concise、consistent)ということが言われるが、実は、それは、経営戦略のベースとなる理念においても言えることである(図2参照)。理念にも「良い理念」と「悪い理念」とが存在するということだ。

「良い理念」の条件として、以下の4つがある。

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