京葉臨海コンビナートの課題と展望

高度経済成長期から千葉県と日本経済を支えてきた京葉臨海コンビナート。しかし近年は、グローバル競争の激化などに伴う大企業の生産縮小が相次ぐ。岐路に立つコンビナートの課題と、再生への道筋を分析する。

揺らぐ千葉県経済の屋台骨
生産設備の休止・停止相次ぐ

千葉県の浦安市から富津市にかけての京葉臨海部には、4つの石油化学コンビナート、2つの製鉄所、5つの火力発電所、3つの液化天然・石油ガス受入基地等が立地し、日本最大級の素材・エネルギー型産業の集積地となっている。京葉臨海部についての直近の統計(2010年工業統計調査)によれば、当地域は千葉県の中で、事業所数の10.3%、従業者数の26.3%、製造品出荷額の64.6%、付加価値額の52.3%、投資額の61.5%を占めており、千葉県経済に与える影響は極めて大きい。

京葉臨海部における製造品出荷額の内訳をみると、石油・石炭33.9%、化学29.9%、鉄鋼18.7%などが大きな割合を占め、この素材系の3業種で当地域の製造品出荷額の82.5%を占める(図表1)。

鉄鋼業界や石油・化学業界では、国内需要が伸び悩む一方、海外市場も汎用品分野を中心に価格競争が激化しており、厳しい経営環境にさらされている。こうした背景の下、13年2~3月にかけて、図表2の通り、京葉臨海部において生産設備の休止・停止の発表が相次いだ。

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足許では、アベノミクスにより臨海部の大手企業でも輸出・建設関連の鉄鋼業や石油・化学業を中心に業績回復の動きもみられる。もっとも、原油・ナフサ等の原材料仕入価格の高騰により収益が圧迫されている先もみられるほか、川下の中間メーカーでは、川上の大手メーカーが行った値上げを価格転嫁できず、マージンが悪化しているとの声が聞かれる。さらに大手メーカーでも、中長期的な国内需要の縮小やグローバル競争の激化という根本的な問題は依然として残っているため、大手製造業における国内の生産合理化・海外での増産という流れは今後も続くとみられる。

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