「内陸のフロンティア」構想

静岡県は南海トラフ地震に備えた"内陸のフロンティア"構想を推進。防災・減災と地域成長の両立という、大きな目標を掲げた。特区制度も活用しながら、強く魅力ある地域づくりを目指す。

南海トラフ巨大地震(マグニチュード9程度)が発生した場合、静岡県では人的被害10万9000人、経済被害21.4兆円が見込まれ、沿岸部は最大33メートルの津波が襲うと試算されている。3大都市圏を結ぶ大動脈上にある静岡県の被災は、日本経済の危機に直結する。この課題に対処するために"内陸のフロンティア"構想は始まった。

新東名を「命の道」に

契機となったのは2012年4月の新東名高速道路の開通だ。津波の心配がない県内陸・高台部を走る新東名は、ほぼすべてのSAとPAにヘリポートが備わるなど、代替路と緊急輸送路の優れた機能を備えている。この「命の道」を活用し、災害に強く、かつ新産業誘致や農業の強化による経済成長を目指した、新しい地域モデルを築き上げる。

構想は3つの基本戦略からなる。最優先事項は沿岸・都市部の防災・減災対策で、河川や海岸での地震・津波対策や避難タワー設置などの基盤整備を進める。単に災害対策を施すだけでなく、工場移転などで発生する空間への農地造成などを行い、農産物の生産性向上と、水や緑にあふれた都市空間への再生を目指す。

二番目は内陸・高台部のイノベーションだ。新東名を活用し、企業用地の創出と新産業の誘致・集約、地域の強みを活かした食ブランドや6次産業化の育成、自然や新エネルギーを活かした新しいライフスタイルの創造など、県全域の発展を支える先進都市づくりに取り組む。有事にはこの内陸エリアで防災拠点機能と域内自給力を確保する。

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