医療ビジネスでもITの活用が進み、特にスマートフォンアプリを活かした予防医療などに注目が集まっている。IT×医療ビジネスのポテンシャルに関して、プラスアール代表取締役佐藤竜也氏、Yahoo!ヘルスケア サービスマネージャー阿南愛氏、ウィルモア代表取締役石川麻由氏の三名がその可能性を語った。

ヘルスケアアプリが増加
──スマートフォンの普及率の上昇に伴い、ヘルスケアのアプリ利用者も急増しています。実際によく利用されるのはどのようなサービスでしょうか?
佐藤 睡眠記録のアプリは人気です。
快眠サイクルがわかったり、いびきを録音できるアプリがあります。「睡眠計)オムロン)という枕元に置くだけで眠りの状態を測定できる機器があり、かなり売れているようです。
阿南 確かに睡眠向けは良く聞きますね。
石川 注目度は高いですね。他にも、妊娠している方向けの「妊娠なう」、佐藤さんのプラスアールからリリースされているアプリは良く聞きます。妊娠中の体温や感じたことを記録できるライフログです。
阿南 Yahoo!ヘルスケアでも、「わたし応援ダイアリー』という気分や体調を記録するライフログサービスを提供しています。
石川 ウィルモアでは『アレルギーチェッカー』という自分の気になるアレルゲンを設定して、商品バーコードを読み込むとそのアレルゲンを含む商品かが食べる前にわかるというアプリをご利用いただいています。
──アレルギーチェッカーは、まさに予防医療的サービスの一つですね。
同様に、予防医療につながる分野で、遺伝子検査が大注目を浴びています。
阿南 Yahoo!ヘルスケアでは、「GeneLife2012」という遺伝子検査キットを取り扱ってています。採取ケースに唾液を入れるだけの簡単な検査で、68の遺伝子に基づき、4段階で病気のかかりやすさを表示し、自分に必要な成分や栄養素など健康管理に役立つ情報を提供しています。
佐藤 僕も試してみたのですが、自分の体質が明確になりました。問題が少なくてほっとしました(笑)
阿南 やはり、「痛風になりやすい」など自分の体質がわかると、普段から気を配るようになります。
石川 それが事前の予防につながってくるんですね。
ヘルスケア分野に注力する通信キャリア
──携帯でのヘルスケアマーケットの手応えについては、どのように感じられていますか。
佐藤 フィーチャーフォンからスマートフォンへ事業の中心がシフトしてきた手応えは昨年2012年くらいからあります。
石川 同感ですね。
佐藤 13年に入ってからは、ヘルスケア分野への各社の先行投資も積極的になっている印象を受けます。特に通信キャリアに動きがあり、KDDIは「karada manager」というダイエットや食事記録管理のフィーチャーフォン時代のサービスが人気で、ヘルスケア分野で先行していましたが、ドコモやソフトバンクも力を入れてきています。
阿南 親会社のソフトバンク同様、Yahoo! JAPANでもここ1年、とくにヘルスケア分野に注力しています。
石川 健康プラットフォーム上にヘルスケアサービス群を載せていくという設計、ウェアラブルデバイスとの連携なども、増えてきていますよね。

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