100年企業のブレない経営

ロングセラー「赤箱」をはじめとした商品で国内トップシェアを誇る牛乳石鹸。釜炊き製法をベースとした伝統の技術力でマーケットを開拓し続け、海外展開や異業種とのコラボレーションなど、新たな展開にも力を注いでいる。

中小の製造業が集積する大阪は、古くから日本産業の担い手として経済の成長を支えてきた。関西国際、伊丹の2つの空港と阪神港を抱えて、陸・海・空のルートが結節し、生産地、消費地として発展。江戸期や明治期に発祥し、当時の技術をベースに成長した老舗も多い。

曇らないスポーツ用ゴーグルで知られる山本光学や、絶対に緩まないナットで世界を席巻するハードロック工業、日本唯一のアトマイズアルミ粉専業メーカーであるミナルコなどは、オンリーワン、ナンバーワン企業の代表格。吸水性の良い後晒し製法でつくる泉州タオルのように、地域集中性の強い産業は63業種にのぼる。

やさしい肌触りをひたすら追求

石鹸製造もその一つである。日本で石鹸の生産がはじまったのは明治初期。

当初から大阪は石鹸生産の中心地であり、貨物輸送の水運が発達した寝屋川沿いに製造工場が点在していた。

「牛乳石鹸、よい石鹸」のCMで知られる牛乳石鹸共進社は1909年に創業。

ロングセラーの固形石鹸「カウブランド赤箱」の生産は28年に始まり、中国などの海外市場でも売り上げを伸ばしてきた。現在は化粧石鹸やボディソープ、入浴剤などをメインに、関連会社を合わせて約300のアイテムがそろう。

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ロングセラーの固形石鹸「カウブランド赤箱」の生産は28年に始まった。

石鹸の生産は、ほぼ安田工場(大阪市)で行い、その生産能力は1日約50万個、年間約1億4000万個。ここ数年は、固形石鹸の国内シェアトップに君臨している。同社の宮崎仁之社長は、こう語る。

「毎日使うものですから、肌にやさしいものでなくてはいけません。戦時中さえも貫いてきた品質へのこだわりを再認識しようと、100周年の2009年に基本理念を『ずっと変わらぬやさしさを。』に定めました」

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