アジアの結節点として魅力を向上

長期低迷を続けていると言われる大阪経済だが、依然として強みを持つ産業分野もある。ライフサイエンス分野、新エネルギー分野への集中投資により、新たな成長が期待され、都市の魅力向上により、アジアからヒト・モノ・カネを取り込む戦略が進められている。

大阪経済は、名目GRP(域内総生産、ここでは府(県)内総生産)で見れば、2010年度時点で、約36兆円と東京都の約90兆円に次いで全国第2位であり、東京に次ぐ大都市である。

大阪経済のポジショニング

しかし、全国におけるシェア、つまり名目府内総生産の対全国(全県計)構成比の推移を見ると、1970年度には10.2%であったが、80年度には8.7%に低下し、90年度は8.5%、00年度は7.5%、10年度は7.3%と、ゆるやかに低下している(1)。この間、東京都のシェアが上昇し、GRP第3位(10年度時点)の愛知県はシェアを維持しており、大阪経済は国内経済におけるプレゼンスを下げているため、長期低迷を続けていると言われている。

一方、下記の図表では、1人当たり名目GRPのアジア都市間比較をしている。ここでも大阪は勢いを失っており、シンガポールには97年、香港には04年に追い抜かれ、さらに、勢いを増しているソウルも大阪に肉薄している(2)

産業別に見た大阪経済の特徴

さて、大阪経済を産業別に分解してみよう。右頁の図表は、80年度と09年度(3)における、大阪府名目GRPの産業別バブル図である。ここでは、産業を製造業、卸売・小売業、サービス業に絞った。縦軸は各産業の特化係数(4)、横軸は各産業の10年平均伸び率(5)、バブルの大きさは、各産業の生産額を表す。

80年度時点では、どの産業も伸び率が高い中、特に製造業のバブルが大きく、大阪経済を牽引していたことが分かる。道修町には製薬企業の本社が集積しており、医薬品製造は歴史的に強い。医薬品以外の化学工業や、東大阪地域に多く集積する中小企業を中心とした金属製品・一般機械器具製造業なども、大阪の強みである。また、大手家電メーカーも大阪に集積している。

81年時点のより細かい産業分類の特化係数で見ても、これが裏付けられる(6)。09年度になると、製造業のバブルは左下に落ち込んでおり勢いは失っているが、依然としてバブルは大きい。

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